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『桐』を建築内装材・内装下地材等に利用し、低公害・省エネルギー住宅を企画・開発・販売するベンチャー企業が「会津桐」の地元・喜多方市に誕生した。7月27日付で創業、10月21日付で有限会社に組織変更した『四季乃蔵』(河井榮美子社長)がそれ。
同社が提案する桐建材は、在来工法による木造住宅をはじめとして、老人ホームや保育所・幼稚園の床や壁などの内装材や下地材への利用を主眼として開発された。
桐は、「湿気に強い」「燃えにくい」などの特性が一般的に知られている。そのほか、「成長が早い」「弾力性がある」「断熱性が高い」など多くの特性を持つ。そのため、四季に影響されない箪笥材として永年にわたり使われてきた歴史がある。
その特性に着目し、建築内装材としての利用へ向けた技術面を担当しているのが武石文敏営業部長。武石部長は、「桐の調湿性能と断熱性能は非常に優れている。また、シックハウス症候群の原因とされるホルムアルデヒドはもとより、環境ホルモンを出さない点でも利点が多い」とし、人体に有害な化学物質を発生させない建材及び建築工法のセット販売を考案した。
フローリングとして使用する場合の本実加工については、圧縮摩擦が弱く、釘の使用が難しい桐は主に接着剤で止められるケースが多い。しかし、武石部長は<健康住宅>の提案に執着、金物を組み合わせた独自の工法を考案(特許公開請求中)し、釘の使用を容易にするとともに、施工性の向上に成功した。
また、下地を2枚セットとし、床下からの空気・湿度を抑えるとともに、桐の特性を生かして断熱材として利用、自然素材による高断熱、省エネルギー型の自然換気システムを実現する。
桐の弱点である柔らかいゆえに傷がつきやすい点については、「椅子を引いたり物を落としたりしたときのへこみは、桐は復元力が強いため夜寝るときに水ぶきすれば、翌朝には元に戻っています。スチームアイロンを当てればすぐに回復します」(河井社長)とし、家庭内での手入れの範疇で解決できるとしている。また、液体等の汚れなどに関しては、水が染み込まない性質のため、水か中性洗剤で洗い流すことができる。
価格については、河井社長は「良い商品であっても価格が高くては受け入れてもらえない」ことから、フローリング材としての坪単価は3万円程度、自然換気システム等を含めた住宅1棟では、坪40万円に設定する。
施工業者に関しては、桐建材に対して理解を示す地元工務店等と特約店契約を結び、大手ハウスメーカーに対抗する目玉商品として、地場産業の活性化にも寄与する考え。武石部長は、「当社も地場工務店等もともに発展、繁栄できる契約内容にする」とし、関東への進出も視野に入れながら、当面は県内全域での販路拡大に全力を挙げる方針。
また、同社では桐の植林も検討している。「桐建材としては12~17年もので十分。年間1万本は欲しいが、現在の会津産だけでは足りない。県外産に頼らざるを得ないため、地元材にこだわるためには植林が必要」と強調。また、製材に関しても、「現在、県内で対応できる工場がない」ことから、新潟県の業者に発注。「地産地消を推進する上から、将来的には地元に製材工場も欲しい」と構想を語る。
「一番の課題は販路拡大へ向けた営業戦略。大手にあって地元にないのがこの点。しかし、県産業振興センターのエンジェル助成を受けることができ、助成金が交付されるとともにコーディネートグループによる専門人材支援も受けられることとなった。専門家からの助言を受け、綿密な経営戦略を練りたい」と自信を覗かせる。
店舗は、喜多方市中心部の喜多方市字一丁目4538に構える。店内には、モデルルーム的なスペースが設けられ、桐の良さを実際に体感できるよう工夫されている。
製品に関する問い合わせは同社(電話0241-21-1561)まで。 |