下水汚泥を透水性舗装材に再利用
 川俣町の絹川建設工業(菅野文吉社長)では、下水の汚泥を使用した舗装を開発、県北管内に施工された。住民からは「下水の汚泥とはとても思えない。アスファルトより色が土に近い茶色で暖かさを感じる」と好評。
 下水道が普及されるにつれ下水の処理後に残る汚泥の量が急増、埋立地の確保、運搬費、埋立処理費等が深刻な問題になっている。各自治体でも下水処理費の削減、環境への負荷の軽減のために、汚泥の再資源化を図っている。同社は3年前から再資源化された汚泥を舗装材に使えないか研究をしてきた。東京都では汚泥の再資源化を図るため、汚泥を焼却して汚泥粒子(スラジライト)を開発、販売していることから、そのスラジライトを利用した透水性舗装を開発、平成13年12月から本格施工を開始した。
 スラジライトは、下水処理場で残る汚泥を焼却して焼却灰にし、それを造粒機で2mmから3mm程度の粒子に焼成したもの。
 汚泥粒子舗装とは、スラジライト、珪石、樹脂の混合物で、約8割がスラジライトである。その特徴としては、透水性が極めて高く、雨水が土壌に還元されるため、雨水の短期集中による河川の増水が軽減される。また、スラジライトに廃ガラス、廃樹脂等を混合しても施工が可能のため廃棄物の軽減にも貢献できる。透水性はアスファルトより樹脂の方が高く、材料費も他の景観舗装材より安い。
 使用用途は現段階では歩道(遊歩道、橋梁部、歩道橋等)、公園内の遊歩道、建物の周りに適している。スラジライトを樹脂で接合しているため、圧縮強度はあるが摩擦力の強度がないため自動車のタイヤ摩擦に耐えられない欠点がある。今後の課題は道路舗装にも適用する強度を出すことが求められる。
 施工方法は砕石路盤(10cm)の上に透水アスファルト舗装(3cm)を行い、その上に汚泥粒子舗装を3cm施工する。
 歩道は今までインターロッキングブロック、平板などが使用されていたが、段差があったり、雨のとき滑りやすいことや目地から雑草が生えるために維持管理費がかかる等の問題点があった。同社が開発した汚泥粒子舗装はそうした問題点を解決すると共に、廃棄物を商品化したことで環境にも貢献することになる。
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