|
いわき市の山木工業(志賀耕三郎社長)では、公共事業の削減などで建設業を取り巻く環境が厳しくなる中、優良企業として生き残る構造改革を行っている。山木工業を中心とした山木グループの改革を紹介する。
山木グループは山木工業を中心に山木都市開発(志賀公平社長)、山木福寿会(志賀公平社長)、共力(志賀一成社長)、住まい計画(志賀耕三郎社長)の5社でグループを形成している。
リフォーム事業部を創設
山木工業本社の改革では、新たな事業展開としてリフォーム事業部を創設、従来建築部内にあった営繕部門を平成14年2月に独立させ、建築技術者3名を専属に配置し新しい組織を立ち上げた。従来、同社は公共工事を主体とする大型工事施工の建設会社と一般から見られてきた。同事業部の発足でドア一枚の交換やサッシ窓の改修等住まいに関するあらゆる工事を行う身近な企業へと脱皮することで、地域密着型に転換した。
最初の仕事先として、同社グループ企業からの受注へ向け営業を開始、グループの有料老人ホームリフォームや住まい計画所有のマンション維持管理を行うことにした。従前は入退去者がある度に畳、サッシ、建具、室内のクリーニング等を専門業者に発注していたが、これらをリフォーム事業部に依頼し、総合的に発注するよう変更。また、入居者からの修繕・修理の依頼もマンション会社でなく、直接リフォーム事業部に連絡してもらうシステムに変更した。この結果、より素早い対応が出来るようになり、ユーザーに喜ばれると共にマンション会社とリフォーム事業部間において相乗効果が発生した。
グループ以外からの受注も増加しており、平成14年は地元企業の工場や銀行、自動車販売会社などから約1億円の受注実績を残した。また、リフォーム工事終了後のトラブルに対応するために(財)住宅リフォーム・紛争処理支援センターの「リフォネット」にも加盟し、ユーザーの安心感も確保している。

<山木工業本社社屋>
マンション会社の改革
もう一つの改革は、従来同社の孫会社であった賃貸マンション会社の低入居率の改善であった。まず、イメージを新たにすべく社名を「住まい計画」として子会社化。入居募集も不動産会社に任せきりで、入居構成も個人契約の割合が多かったことから、営業方針を180度転換。いわき地区でも引き上げる企業が多い中、あえて企業の借り上げ社宅としての契約パーセントを多くすることへ営業転換した。同社と取引のある企業への働きかけやいわき地区に支社、営業所のある企業へのPRで、その本社への訪問活動などを実施するとともに、人事異動の時期、入居室を1室から2室、2室から3室へ増やす活動を行った。また、デフレ傾向の時代に合わせ従来の経費を見直し、出来るだけ入居時の経費軽減を図るために権利金、礼金を廃止。同社と取引のある企業には優先的に賃貸料の引き下げを行った。その結果、約1年後には全2棟24室の入居率が90%を超えることになった。
今後は所有マンションも築14~15年になり、老朽化も目立ってきているため総合的なリフォームを実施しなければならない時期に来ている。総合的なリフォームを考えた場合、入居対象者も考えた方向での対策を行い、短期の社宅借り上げや自宅増改築中の人に便利な短期滞在型、また、ペットを一緒に飼える設備を整えたマンションの提供プラン等を考えている。
「住まい計画」では、所有の賃貸マンション経営だけでなく、総合リース、日用品雑貨販売も行うことにしている。最初に同社工事現場の現場事務所リースや事務所内で使用する机、イス、ストーブなどをリース会社に発注するのでなく、「住まい計画」が全てを受注し総合的に行うことにした。この結果、現場の担当者は全て「住まい計画」で対応できるため、現場経費の節減を実現する。
昭和53年から有料老人ホーム経営
その他同社のグループには山木福寿会が経営する有料老人ホーム「ふるさと楽園」がある。現在、建設業の構造改革として介護福祉分野への進出が県建設業協会を中心に進められているが、同社は昭和53年に「ふるさと楽園」を開園しており、先駆的な役割を果たしてきている。
同施設は、敷地面積がいわき市平下荒川字大作地内の1万7349?、規模は鉄筋コンクリート2~4階建て延べ面積5227・12?、総戸数93戸である。共用施設には、面積1608・16?の庭園と医務室、体育室、食堂、調理室、娯楽室、休養室、教養室、外来宿泊室、洗濯室、売店など、専用施設は専有面積で4つのタイプがある。全ての部屋にキッチン、バスルーム、トイレ、和室、洋室、バルコニーが配備されている。
サービス内容については医療・健康サービスが「かしま病院」と提携して協力医が往診・診察を行うと共に昼夜常勤の看護婦が健康管理にあたる。介護サービスは入浴介助、食事介助、排泄介助、医療介助・付き添い・投薬などを行う。生活サービスで掃除・洗濯・配膳など、代行サービスで買い物や手続き・事務等を行い、車輌を使っての病院の送り迎え、買い物やレクリェーションでの送迎等を行っている。
「共力」は木材の販売と一般住宅の建て売り、「共力ハウス」は木材をふんだんに使った住宅会社として好評を得ている。また、「山木都市開発」は公共工事と民間住宅、公共工事は小規模工事を中心に行っている。
グループ5社がそれぞれの特長を活かしながら企業の発展を考えており、地域に根ざし、地域に貢献するグループとして、地元の発展を支えていこうとしている。
|