地場建設業者が設立した事業協同組合による
コンクリート廃材等のリサイクル


県北建設資源再生事業協同組合
■地域の建設業者が結集■
 県北建設資源再生事業協同組合(桃井昭男理事長)は、地域の解体工事で排出されたコンクリートやアスファルト廃材を受け入れる中間処理施設で、建設副産物のリサイクルを行っている。昭和63年に福島県北部の建設業者が結集して設立された。現在の組合員は30社、7組合。
 設立当時は、全国的に産業廃棄物処理に対する関心が高まってきた時期で、特に発生量が多い廃コンクリートや廃アスファルト等の建設副産物の処理と再利用が大きな課題となっていた。しかし、福島県内には建設副産物の中間処理施設が少なく、県内での処理が間に合わなかったため、隣県の処理場に搬入していたことから、福島県は県内の建設業者団体に協同組合方式による中間処理施設建設を依頼、県北地区においては福島市を中心とする建設業者が出資して事業協同組合を設立し、福島市下飯坂に再生処理プラントを建設した。知事の産業廃棄物中間処理業(破砕)の許可を受け、平成元年より本格稼働している。
 組合は、排出業者と工事毎の総量で委託契約を結び受け入れを行っている。全体の約5割が組合員の排出材。道路舗装材、U字溝、擁壁、電柱などが主だ。


桃井理事長


■品質面で高い評価■
 再生プラントは、投入バケット、ホッパー、インパクトクラッシャー、スクリーンで構成されており、1日の処理能力は640トン。最終工程で専門の作業員が残留異物を取り除いているため、公共工事における品質の評価が高い。出荷する再生材は、再生路盤材及び再生砂(粒径40-0、13-0)と再生アスファルト(粒径20-0、13-0)の2種類。再生路盤材は、コンクリートとアスファルトを混ぜた材料で、ほとんどが公共工事の下層路盤に用いられており、現在は予約待ちの状態。販売は工場渡しで購入者の約7割が組合員だ。また、再生アスファルトは、隣接する舗装会社が全て買い取っている。


プラントの出入り口

 周辺対策として、敷地全体を高さ4メートルの塀で囲うとともに、地下水を利用した散水装置を設置しているほか、粉塵清掃車を使って定期的に清掃を行っている。
 作業員を含む職員(8名)は全て新規採用で、全員に重機作業に関する安全教育を実施している。
 再生プラントの建設費は約4億2000万円であり、組合員の出資金と金融機関からの借入金で資金調達を行った。これら当初の借入金は数年前に返済を完了している。設立時の売上高は8800万円であったが、その後は順調に増加し、平成7年には1億7100万円に達した。近年は、建設事業量の減少に伴い1億1000万円程度で推移している。運営面において、出資配当を低く抑え、利用分量配当を高めに設定したことで、組合員の利用意識が高まり、結束が強くなったことも大きな成果だ。
 ここ数年、県内にも民間の中間処理施設が次々に立ち上がっているが、同組合はプライスリーダー的存在となっている。


再生処理プラント




処理場内での作業

■今後の課題と解決方針■
 プラントの寿命は20年と言われており、更新時期が近づいている。これに対応するため、利用分量配当を廃止して、更新のための積立金としている。  また、公共工事の低迷により、受入量が減少傾向となっていることから、取扱品目を増やすことも検討している。屋根瓦やALC版等の住宅廃材については、すでに受け入れ準備を始めており、廃木材の中間処理施設の新設も計画、準備作業に入った。
 一方で、ISO14001の認証取得を決定し、平成17年2月にキックオフを宣言、平成18年3月の取得を目指している。


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