田村市の田村工業が「グループホームはこべ」を開設

アットホームを最も大事にし、入居者に喜んでもらえる施設
 田村市船引町の田村工業は、介護分野に進出し、認知症対応型共同生活介護事業所「グループホームはこべ」を開設した。
 同事業所は渡辺善一氏(田村工業社長)、青山孝氏(青山医院院長)、熊田裕子氏(薬店経営)の3人が「有限会社タムラ」を設立し、田村市常葉町常葉字七日市場地内に建設した。敷地面積は5000平方メートル、規模は鉄骨造平屋建て延べ床面積560平方メートル、利用定員18名で、全室個室、トイレ6箇所、浴室2箇所、利用料金は介護保険自己負担額(2万3880円~2万5830円)プラス室料(月額)3万7500円、食費(1日)1200円、水道・光熱費(月額)1万500円(冬季利用は1万2000円)で、トータル10万7880円~10万9830円となっている。また、青山医院から院長が毎日往診を行い、入居者の健康管理にも万全を期す。協力医療機関は青山医院のほか、村越歯科医院とも提携している。
 常葉の大自然の中、1500坪の広大な土地に野菜畑やコスモス畑があり、入居者自ら野菜の栽培や花の栽培を行うなどして、入居者の心を癒やしてくれる。また、施設内では月に数回の行事を行い、取材中にもお祭りに合わせた「餅つき」が昔ながらの杵と臼で行われ、入居者みんなで楽しみながら行われていた。


■グループホームの建設で親孝行と地域貢献を実現■
 渡辺善一タムラ社長は「公共事業の減少で土木中心の会社は大変厳しくなっていた。県建設業協会が介護の資格取得の講習会を行っていたので、そこに参加し資格取得した。会社の体力があるうちに新規事業を考え、確実に採算が取れるかどうかは分からなかったが、介護事業に進出した」と新規事業進出への動機を語る。また、社長の両親が認知症で介護の大変さを自ら実感していたことと、熊田所長が「家庭内に認知症の人がいると、家庭崩壊につながる。認知症の施設が是非欲しい」と言う考えで、親孝行と地域貢献の両方を実現できる認知症のグループホームとした。
 「グループホームはこべ」の「はこべ」は、母の花で雑草だけど根がしっかりしていることから、母の心で根強くここに残して行きたいと命名。また、4つの理念〔1〕その人らしく生きることを支援する〔2〕対象者とその家族を尊重する〔3〕自立、自律への援助を行う〔4〕最後まで共に歩む-を掲げ、スタッフ全員アットホームな介護を志している。
 平成17年2月に土地を購入し、3月に建設に着手、9月1日オープンさせた。開設と同時に13名の入居者(介護1~5までの人)とスタッフ専従4名、パート10名の計14名(介護福祉士1名、1級ホームヘルパー2名、他全て2級ホームヘルパー)で運営している。
 施設内はスタッフルームを中央に配置し、両側に9室ずつ配置。目が行き届きやすいよう配慮している。また、吹き抜けのようなホール、和室スペースがあり、自分で好きな場所を自由に選択できる工夫がなされている。屋根を鉄骨組にすることで、中央部に柱がひとつもなく広々とした空間を作りだしている。トイレと浴室にも十分なスペースをとり、ゆったり感を持たせている。リビングルームには大きな一枚ガラスで外の景色が一望でき、四季折々の景色を眺望できるようになっている。


■今後、ケアハウスやディサービスの施設を増設■

 「グループホームはこべ」が順調に軌道に乗ったら、広大な敷地内にケアハウス(介護付きアパート)、ディサービスセンターの建設を視野に入れている。渡辺社長は「将来的な夢は、ここの敷地内で小規模多機能で指定居宅サービスがすべて利用できる福祉ゾーンを建設したい」と将来構想を語る。「建設業だけではこれから生き残って行けない。介護事業との両立を考えている」とも。

問い合わせはグループホームはこべへ。
福島県田村市常葉町常葉字七日市場99
TEL0247-77-3001
FAX0247-77-2221
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