産学官連携でNPO設立

福島おらが街ふるさと創り研究会
地元建設業らが社会インフラ改善
  「福島おらが街ふるさと創り研究会」(本部=郡山市田村町徳定字中河原1の1・郡山地域テクノポリスものづくりインキュベーションセンター209、理事長=佐藤安宏・むさし建設(株)社長)は、「最小のコストで社会インフラを改善」をポリシーに設立した特定非営利活動(NPO)法人。調査から企画・設計・施工まで研究機関、コンサルタント、地元建設会社の地域インフラを知り尽くした産学官のスペシャリストで組織、公共施設の管理者に対してアセットマネジメント(管理・運用計画)導入による事業提案と災害の予防保全および応急工事支援などを行う。
 構造物の耐用年数はおよそ50年といわれている。1960~70年代の高度成長期に急速に整備されたダムや橋梁、トンネル、道路などの大量の土木公共施設は近い将来、一斉に更新時期を迎えるが、財政逼迫(ひっぱく)による公共事業予算の大幅削減から、限られた財政の中で公共施設の長寿命化が必要となった。
 アセットマネジメントは公共土木施設に対する「資産運営」で、予防保全的対策を通じて施設の長寿命化を図る。従来の対処療法的な維持管理ではなく、劣化が著しくなる前に計画的に対策を施すことで管理の集中を避け、トータルでのコスト低減を目指す。福島県土木部においても昨年から道路や河川構造物のアセットマネジメント策定作業をスタートさせている。
 同研究会は、むさし建設、陰山組、秋田蒲生工業、福浜大一建設三春支社、アーバン設計、ティーネットジャパンの地元企業6者と日本大学工学部の高橋迪夫教授、長林久夫教授、出村克宣教授、渡辺英彦助教授、村田吉晴元講師、東京電気大学の牛島栄客員教授の6人の技術アドバイザーで組織する産学官協働のNPO法人。平成17年12月に発会し、アセットマネジメントやNPOについて毎月1回ペースで勉強会を開催、昨年9月にNPO認証され、12月に法人登記を完了した。
 主な活動内容は、道路や河川などの管理者である国や地方公共団体など公共施設の管理者に対し〔1〕橋梁、トンネル、空港、ダム、道路鋼構造物などを計画的に維持管理するためのアセットマネジメント(管理・運用計画)の事業提案〔2〕県民に公共施設を安全に快適に利用してもらうための維持管理〔3〕県民の財産である公共施設の老朽化が進む中、維持管理に必要な費用についての説明〔4〕より良い施設とするための沿道美化や災害の予防保全対策、応急工事支援-などを行う。
 具体的な事業として〔1〕構造物点検調査診断〔2〕構造物補修補強設計〔3〕維持管理支援〔4〕沿道美化支援〔5〕社会インフラの予防保全〔6〕人材育成〔7〕雇用創出〔8〕災害などの緊急時の調査、測量、設計、応急工事など支援〔9〕非破壊試験研究開発〔10〕知的財産開発支援〔11〕調査研究発表会・講演会・シンポジウム・イベントの開催支援-などを予定している。
 当面は県中地区を中心に活動を行うが、将来的には県内展開をにらむ。佐藤理事長は「地方にある地方の社会資本は地方の力でメンテナンスする。調査から計画・提案、工事まで、最小コストによる品質保持で地元自治体を支援していきたい」と話している。
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