保険購買代理店を経営
サービス分野で新境地開拓


南相馬市 石川建設工業(株)
南相馬市原町区大町3丁目30 (TEL 0244-23-6117)
◆生命保険のラボとバンク
 公共事業量の減少や入札制度改革など経営環境が大きく変わる中で、本業である建設業を補完する事業という位置づけで新分野進出を決めた。当初、農業分野や医療福祉分野を視野に入れたが、同社には農業経験者がいなかったことや医療福祉では後発となることから断念、広く一般を対象とするサービス分野で新境地を開拓するべく、来店型生命保険ショップの経営に乗り出すこととした。フランチャイズチェーン「ライフサロン」と契約し、11月には東北大学に近い仙台市青葉区北目町5-7・グリーンピア1階に1号店を開店させる。現在は、生命保険を扱うための資格取得や研修、保険代理店の手続きを進めているところだ。
 福島県が実施している建設業新分野進出企業に認定され、優良企業として表彰を受けた。また、事前調査支援事業に応募し、計画は認められ補助金の対象となっている。
 規制に守られてきた保険業界は、保険金を届けることよりも保険を売ることに注力してきたと言われ、これが保険金不払いの背景になっているとの指摘もある。新しい保険流通を目指して2006年に設立した(株)リンク・トラストは、契約者から預かった保険金を確実に届け適切に使われるよう見守るしくみをライフサロン事業で展開し始めた。
 ライフサロンは、あいおい生命、アクサ生命、アフラック、アリコジャパン、オリックス生命、チューリッヒ生命、東京海上日動あんしん生命、日本興亜生命の生命保険商品を扱う。訪問販売は行わず購買代理店として「店にサービスを受けにきていただく」がコンセプト。複数の保険会社の商品から顧客に合った商品を選び、組み合わせてオリジナルの保険をつくる保険ラボ、保険情報を預かり保険金や給付金を受け取れるようサポートする保険バンク、そしてコミュニティーの提供が事業の柱となる。そのために相談の時間と静かな場所を用意する。
◆自社の存在をアピール
 石川俊社長は「当社にとって公共事業が経営の生命線。それに加えてサービス事業を行うことで生き残りを図る戦略です。一度お客さんに家を建てていただくと、次の仕事の機会は10年以上先。しかし、保険はライフスタイルが変わるたびに見直さなくてはなりません。お客様とコミュニケーションが取りやすいサービスです。そうした中で建設の分野でのご相談も受けられるようになれば…」と新事業に関する期待を示す。そして「公共事業をやっている会社には、個人から小さな仕事は頼めないと思われており、一般の人からはかけ離れた存在だと思われている。自社の存在を広く知ってもらい、身近な存在であることをアピールしたい」と語る。
 県内都市部での出店は、フランチャイズ枠の関係で断念。「ならば人口が多い仙台市で成功体験をつくろう」と進出に踏み切った。将来的には、常磐線沿いに店舗を増やし、地元の南相馬市にも店を持ちたいと抱負を述べている。

県新分野進出企業認定証の交付を受ける石川社長・県相双建設事務所
(県新分野進出企業認定証の交付を受ける石川社長・県相双建設事務所)


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