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総合建設業の金子建設(金子吉彦社長)は、金子観光(同社長)として従来から取り組む貸し切りバス事業を拡大し、民間バスが撤退した地元の空白路線で定期路線バスを運行中。建設業新分野進出として県の認定も受けた。
独自のダイヤを作成し、約25人/台の中型バス3台をやり繰りして、同村松山~南会津町田島駅前間を1日3往復する。運転手は、これまでのバス運転手に加え、新たに1人を採用。繁忙期には臨時の雇用も含め、柔軟に対応するとしている。
路線の開設に当たっては、生活必需不採算路線を主に議論する地域公共交通会議が、高齢者の通院手段や、南会津町と連携した観光の誘客など、その必要性を認めた。
同社は、これまで貸切バス許可で特例的に定期路線バスを運行してきたが、法改正で新規に乗合許可を申請。20年4月に東北運輸局の許可を受け、新たに乗合バス事業者としてスタートした。
金子保彦同社常務取締役は「運賃のみで運行するのは難しいが、これまで培ったバス事業のノウハウを活かしたい。支援を受ける昭和・南会津両町村を結ぶ市町村バスの義務を果たしたい」と述べ、建設業に軸足を置きながら、バス路線をPR。21年度に供用開始する新たなトンネルなど周辺環境も変わりつつあり、自治体とのタイアップも重要になる。
現在の定期路線は、昭和村松山地内から舟鼻峠を通り、南会津町のJR田島駅まで毎日運行している。所要時間は約1時間10分で、松山発・田島駅前着は①午前6時50分~午前8時、②午後零時40分~午後1時50分、③午後4時~午後5時10分、田島駅前発・松山着は①午前11時10分~午後零時20分、②午後2時10分~午後3時20分、③午後6時10分~午後7時20分の延べ6本。運賃については、田島駅~松山で1,360円となっている。標高が平均約1200mと高いため、積雪で通行できなくなる冬期間は休止し、5月1日から10月末の間のみ運行する。
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(定期路線運行に活用する中型バス) |
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