耕作放棄地を回復させ地域を下支え
只見町 美馬建設(株)(TEL 0241-82-2155)
美馬建設(株)(本社=只見町、美馬典昭社長)は、住民の高齢化が進む地域を維持、支えようと新分野事業として、農業を軸としたコミュニティサポートサービス事業を展開している。町内の各集落では、耕作放棄地の回復などの地域保全活動が住民の負担となるため、地域内の企業が解決策を見出しながら「農工連携」でこうした負担を軽減する。その延長線上で経済効果も生み出せば、官民の財政が厳しい中、コミュニティビジネスとして大きな意味を持つ。
疲弊する地域を守り、活力をもたらそうと18年6月、遊休農地の再生を始めたのがきっかけとなった。民需が少なく公共事業への依存度が高い地域で、雇用を維持しながら地域経済の下支えにつなげる。当初は大きな経済効果がなくとも、こうした取り組みが地域に自信を持たせる可能性もある。
只見町はダムの交付金などもあり、昭和35年には人口が1万2341人だったが、平成2年ごろまでに年間200人前後の勢いで減り続け、5031人(21年12月現在)まで減少した。高齢化率は40%を超える。農業就業人口減少と、70歳以上の従事者が圧倒的に多く、後継者不足で耕作放棄地も増えた。県境という位置も、町に行き止まり感を持たせる。現在事業が進む国道289号八十里越は開通までに時間がかかる。
現在は、遊休地を維持管理しながら、本来の農地を取り戻すことで景観向上にもつなげている。生産は主にそばで、栽培面積は230アール。20年11月からは完全真空包装のそば粉販売のほか、ライバルが少ない『そばもやし』を試験販売し、オリジナル性を前面に出した。
販路拡大のため、福島市のコラッセふくしまのイベントへそば粉を出品し、只見の産物として売り出すほか、町内でも十割そばとして販売し、これまで眠っていた需要を掘り起こす。
現在は農業を主軸に事業展開するが、今後は高齢者を対象とした家屋の修繕、清掃や除雪などを介護スタッフのアドバイスの下で行う準備も進めている。
(試験栽培する『そばもやし』)
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