満足度アップは差別化と地域連携
阿武隈川源流にたたずむ癒し空間
スパリゾートあぶくま温泉施設の経営


棚倉町 藤田建設工業(株)(TEL 0247-33-2281)
 藤田建設工業(株)(本社=棚倉町、藤田光夫社長)は平成19年から、温泉リゾート施設「スパリゾートあぶくま」の経営に乗り出し、間もなく4年目を迎えようとしている。地元県南地方のみならず、国道289号「甲子道路」の開通効果もあって、会津地方や北関東からの家族連れを中心に年間平均6万7000人が訪れる。阿武隈川源流にたたずむ一軒宿、甲子高原の豊かな自然の中で地元産の四季折々の食材を使った料理と源泉100%利用の温泉。同社はあぶくまの経営で今年度県の「新分野進出優良企業」にも選定された。
 「スパリゾートあぶくま」は、国道289号線を白河方面から会津方面に向かい、JR白河駅から車で約15分。甲子高原の麓付近から右に折れ原生林に囲まれた、西白河郡西郷村真船字川谷地内の阿武隈川の源流を背にたたずむ隠れ家的な宿。「日帰り&宿泊」のどちらも楽しむことができる本格的な温泉リゾート施設。泉質は皮膚に滑らかで湯冷めにしにくいアルカリ性で源泉の温度は43.8度、「若返りの湯」「美肌の湯」として親しまれ、低廉な料金設定とも相まって来館者はリピーターがほとんど。本館は大浴場(ジェットバス・寝湯・薬湯)、露天風呂、高温サウナ、座浴よもぎサウナ、遠赤外線岩石浴(低温サウナ)、アカスリコーナー、マッサージコーナー、90畳の大広間に和室3室、小宴会場3室、リラックスルーム(20人収容)、カラオケルーム(2室)、ゲームコーナーなどを備え、離れには和室コテージ「恒楽苑」を設置した隠れ家としての魅力も十分。
 同社が経営に乗り出したのは平成19年2月から。前年7月に前経営者から営業権譲渡の申し入れを受け、温泉施設の経営に興味があった藤田社長が再建に乗り出した。もちろん公共事業削減による社員の雇用機会確保の面も大きいが。建設業の技術を生かし施設を改修し、ユニバーサル化。進入道路も改修しアスファルト舗装を施した。重機オペレータを送迎バスの運転手として移籍させたほか、メンテナンスコストを抑えるため建築技術者を施設の維持管理責任者に当たらせている。
 「お客様の満足を第一に考え行動し、お客様に喜びと癒しを提供します。そのために、私たちは自分自身を磨き高めると共に、笑顔と優しさ、思いやりのこもったおもてなしを心がけます」が同社の企業理念。前会社の社員22人は継続雇用し、藤田建設工業からの出向を含め新たに7人を増員し、現在は29人のスタッフが働いている。以前と比較してお客様や取引業者からも「あぶくまの雰囲気が変わった」「明るくなった」と言われるようになり「建設業」と「サービス業」のスタッフの意識が「お客様の満足度」を実現するため高次元で融合し確実に進化しているようだ。
 社員雇用による地域貢献と合わせ「地域特産品の販売による地域経済への貢献」にも力を注いでいる。地域の農家と連携し食材を購入、館内売店での地場産品の販売のほか、今年6月からは毎週土・日曜日の早朝6時から本館前の駐車場を住民に開放し「朝市」も開かれる。西郷村の協力で本館内の大広間にある「大型プロジェクター」を使って村広報も紹介している。メディアを使った広告宣伝は特に行わないが、リピーターや連携する地元住民の口コミが大きな宣伝力となっている。
 同社では将来的な目標として「他の温泉施設との差別化と顧客満足度向上」「企業・病院(人間ドッグ等)と保養施設の連携」「食材の地産地消の拡大」「近隣農家と連携し、地盤産品の店頭販売および通信販売の拡大」「近隣農家とジャガイモなどを利用した新商品開発」などを挙げた。温泉施設の顧客満足度アップと施設を生かした地域貢献を、社員のアイデアと行動力を武器にさらに進めていく考えだ。

本館入口
本館入口


大浴場
大浴場
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