将来はエリア拡大も視野に
葬祭用花輪の運搬設置
須賀川市 (株)赤羽組(TEL 0248-67-2210)
須賀川市の(株)赤羽組(赤羽隆社長)は22年3月から、「葬祭の請負および葬祭用品の販売」に乗り出した。業務は葬儀、告別式で欠かせない「花輪」の運搬で、自社トラックを使用して式場や自宅など葬儀会場に注文された花輪を運び設置する。現在は須賀川市、岩瀬郡内を営業区域としているが、将来的には隣接地域へのエリア拡大も視野に入れる。
同社が、「葬祭請負」という耳慣れない事業を新分野進出に選んだことには理由がある。須賀川市内にある葬祭場「セレモニーホール闡王閣」の運営会社、(有)闡王閣(本社=須賀川市並木町288ノ13)は赤羽社長が平成15年に設立した葬祭業専門の会社で同社のグループ会社。葬祭業の立ち上げは、前年の平成14年、当時の小泉内閣が打ち出した「聖域無き構造改革」に呼応し、県が財政構造改革初年度として公共事業費を15%近く減少させ、建設業界が震撼した年。公共事業削減は時代の流れ、建設業だけでは立ち行かなくなると感じた赤羽社長が、本業の事業量減少を少しでも補いたいと葬祭業に乗り出した。経費節減と雇用確保が目的だった。
葬祭場の建設には敷地造成から建築工事、施設の維持管理といった面では同社の資源を有効に使った。葬祭業のノウハウは、隣県で同業を営む知人のアドバイスを参考に、専門スタッフは一部ヘッドハンティングで補った。同業界も建設業界と同様、葬祭費用の価格競争に巻き込まれ、新参者にとって事業を軌道に乗せるためには多くの時間を要した。
これまでに葬祭業で培った信用を生かし、さらに建設業の経営資源を有効に活用するため「葬祭の請負」を選んだ。花輪運搬用の専用トラックは自社所有トラックを改造した。現在、花輪の運搬も60本/月と目標の半分にとどまっているが、営業エリアの拡大と合わせトラックの効率性を高めることができれば、事業の拡大も可能と見る。
赤羽社長は「建設業を取り巻く環境は7年前と比べられないほど厳しさが増している。地元では赤羽組イコール闡王閣と見られており、本業の建設業と葬祭業は切り離すことはできない。葬祭業は営業手段も難しく、利用されたお客様の口コミが一番の営業。社員一人ひとりがサービス精神を磨き、顧客満足度を高めることで売上を伸ばしていきたい」と話している。
葬祭場
専用トラック
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