中国で技術支援
国際交流版「新分野進出」


郡山市:??山建設(株)(TEL 024-944-1325)
 (株)白鳳社(TEL 024-932-1544)
 福島県建設業協会の会員企業が中国のマンション系内装工事の技術指導に乗り出し、日中両国の経済界や建設業界から注目されている。中国の施工業者に現地で技術指導を始めたのは郡山市に本社を有する??山建設??山正弘社長)と白鳳社(清水進社長)。中国の国営デベロッパーと日本の穴吹工務店の“遺伝子”を受け継ぐ3社との“日中大型コラボ”に同社の技術力が認められ、遅れている中国の建築技術をグレードアップするため講師派遣を求められたもの。両社は昨年10月から上海、天津に有資格者を派遣し、塾などの形態で施工図の書き方・読み方、仕事の手順、材料の選定、検査要項などを指導している。建設業の新分野進出が促進される中で、両社の取り組みは、本業を生かした“国際交流版”新分野開拓に位置づけられる。

 
【写真は現地作業員への実地指導のもよう】


「優れた技術は国境を越えて受け入れられる」
 きっかけは、直接の講師派遣依頼会社となった上海穴吹装飾工程(有)(丁峰理事長)に清水、??山社長の知人がいたこと。22年9月、同装飾工程会社の丁社長から両社に届いた「建設施工技術の指導・教育に対する講師派遣依頼書」によると、同社は中国を代表する政府系デベロッパーとの太いパイプを持ち、これをベースに中国全土で施工コンサルタント業務を展開する内装施工会社。
 代表的な実績が、上海市で施工とコンサルティングを行った「東和公寓」。日本人学校を同一敷地内に誘致した日本人向け高級マンション(24階建て5棟413戸)で現在3期の工事中だが、これを中国のデベロッパーと日本の建築技術の融合例として成功させたいという。「優れた技術は国境を越えて受け入れられる」(丁理事長)の信念のもと、本県で長年にわたり実績を積み上げ、地域の信頼を得ている両社に着目し協力を求めた。そして「技術や人材の交流だけでなく、日中両国、そして郡山市と上海市の相互理解がより深まる極めて意義ある合作」と位置付けている。
 中国の建設工事は、新規物件が目白押しで、かつての日本同様「質より量」の考え方が根付いている。マンション建設は「躯体工事」と「内装工事」に分けて発注される、いわゆるスケルトン方式が一般的。購入者は好みに応じて内装工事を行う。躯体工事、内装工事ともに以前よりは建設技術の精度が高まっているものの、まだまだ日本の技術力とはかい離している状況にあると言われ、「質の向上」が現地のデベロッパー間でも意識し始められている。
 躯体工事には現地独自のスタイルがあり、日本の技術的常識が通用しないことも多々あるようだが、少なくとも内装工事においては日本の技術が生かせると両社は判断した。「施工図の作成」「施工手順・方法」から「工程検査」「材料チェック」などの品質管理方法を、両社の技術者を派遣し、指導・教育させるもので、マンションプロジェクトごとに、施工するための塾を開きその講師役を務めている。


 
【天津プロジェクトのC街区】


 両社の中国でのパートナーである上海穴吹装飾工程(有)の丁峰理事長は23年2月10日郡山市を訪れ、両社の協力会会員企業の代表者らを前に「中国のビジネス機会と参加」と題して講演した。
 丁理事長は、中国におけるマンション需要の見通しを交えて同国内の建設事情を解説したうえで、「文化や生活習慣も含めて日本は親しみを持てる隣国。縁あって両社と一緒に仕事をできることをうれしく思っており、期待しています」「仕事も丁寧で責任をもって指導にあたってもらっていて、事業主にも評価されています」「最終的にはすべての工事が完了してからの評価になるが、日本の技術者の信頼度は高い」などと話した。
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