パルプボード家具の製造・販売へ

南会津町 久米工業(株)
(TEL 0241-62-1182)
 建設業以外の新たな事業展開を模索していた時期、同地区内の家具製造会社が後継者不足から事業継続を断念するとの話が入った。地域の雇用と産業を守るため、事業を引き継ぐのに迷いは無かった。地元金融機関の仲介もあり、久米工業の全額出資による別会社として「有限会社フナキ」を設立し、平成23年2月1日からパルプボード家具製造・販売に乗り出した。前会社の従業員と設備を引き継ぎ、渡部雅孝社長の3男である渡部理氏を取締役専務として送り、てこ入れを図っている。

工場内を案内してくれた渡部理専務
工場内を案内してくれた渡部理専務
 
事業展開の課題と対策
 昨年度の売上高は、約3億5千万円。しかし、東日本大震災の発生と原発事故により、平成23年の3月と4月の売上げは、前年度より1割減った。年間売り上げの5割以上を占める3月と4月の売上げ落ち込みは、新会社のスタートとしては痛手。早急に前年並み水準まで売上げを戻し、拡大基調に乗せることが最大の課題となっている。
 現在の主力商品は、ボックス棚。食器や衣服はじめ、文庫、CD・DVD等のサイズに応じた様々なサイズの商品をラインナップしている。

  デザインは、5年サイクルで大きく変わるため、ユーザーニーズを先取りした商品開発も必要不可欠。そのため、新商品の開発にも意欲的だ。  現在、海外からの新素材輸入による新商品の開発を検討しているが、急激な円高が頭を悩ませることに。輸出入が絡む商品の販売価格設定には、為替レートが大きく影響する。現在の円高水準がどの程度続くのか、変動幅が大きければ利益に直結する問題だけに、慎重に検討を加えている。

今後の見通し
 事業を引き継ぐにあたり、100%スムーズだったわけではない。県外業者も食指を伸ばし、元の経営者から「地元優先」ということで同社が選ばれた。その分、責任も重大。渡部社長は、「今後、3年を目安として経営を軌道に乗せたい」と抱負を示している。

抱負を示す渡部雅孝社長
抱負を示す渡部雅孝社長
 
 なお、同社の取り組みは、平成23年6月15日付で福島県から建設業新分野進出企業として認定された。
目次へ