福島市の寿建設(森崎英五朗社長)が、トンネル屋としての技術と経験を生かした、トンネル漏水対策工「点導水工法」がこのほど、国土交通省の新技術活用システム(NETIS)に登録となった。
点導水工法は、主にNATM工法以前のトンネルを補修する工法。漏水の原因となり、施工工法ごとに異なるコンクリート背面の水たまりを、トンネル専門工事業としての経験から推察しピンポイントで削孔。削孔個所にベースホールを設け、放射線状(標準で3本)に水抜きボーリングを施す。流水は専用の受皿で集水し、設置した縦導水パイプを通して既設排水溝に流す。
原因個所から直接水を抜くため効果が高く、施工範囲が限られるので、面的に対策を施す従来工法と比べコスト削減、工期短縮が期待できる。付着した遊離石灰、目詰まりはブラシ等で取り除け、メンテナンスも容易だ。
トンネル構造の弱体化を回避できるのも大きな特徴。アーチコンクリートと側壁コンクリートの接合部より下で施工するため、強度保持に問題のある接点を削る必要がなくて済む。現状のコンクリートと同色で仕上げるため違和感がなく、コンクリート面の美観を損なわず補修できる。
NATM工法のトンネルについても、NATM仕様の点導水工法(点導水―N工法)を開発しており、防水シートを傷つけず効果的な漏水対策を可能としている。
同社は平成14年に同工法を開発し、施工実績は県内外で1000カ所を超える。官公庁から一定の認知、信頼は得ているが、より工法の信頼度を高め、さらなる受注拡大を図ろうと、NETISに登録した。森崎社長は「技術力の証になると考え登録した。今後も技術開発に取り組み、独自技術で福島の復興に貢献したい」と話している。
|
 水抜きボーリングの施工状況
 削孔から水が流出するようす
 放射線状に空けたボーリング孔、 ベースホール、受皿など
 仕上げの比較 (左が点導水工法、右が従来工法)
|