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古民家の活用を提案 モデルハウス「清匠庵」が完成
三島町 佐久間建設工業(株)
(TEL 0241-52-3341)
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過疎、高齢化が進む中山間地域では空き家の増加が大きな問題となっているが、三島町の佐久間建設工業㈱(佐久間源一郎社長)はこのほど、町内にある築150年の空き家となった古民家をIT企業の開発拠点として再生した。古民家活用のモデルハウスとして改修した「清匠庵(せいしょうあん)」で、古民家の風情を残しつつ台所やトイレなど水回りは最新設備を取り入れ、光ファイバーなど通信設備も整備した。同社をはじめ会津地域で森林・林業に関わる企業、個人で組織する「奥会津IORI倶楽部」は、空き家や古民家を活用した定住・二地域居住、震災被災者のための復興住宅への転用などにも取り組んでおり、今回の改修も古民家活用の一環である。
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「清匠庵」のオープニングセレモニー |
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同社の佐久間社長が代表を務める「奥会津IORI倶楽部」は、会津地域の林業再生による地域活性化を目的に平成22年7月に結成した。気候や風土に合った地域材の有効利用と伝統的技術に熟練した職人の手による本物の木組みの住まいの提供をテーマに、生産から製材・加工、設計、施工まで住宅関連業界に関わる職人たち74人で構成。地元で育った木を、住まい手の好みに応じて加工・活用することで、暮らしの中に木の魅力を伝えながら、森林の保全につながる林業再生を図る。
改修を行った古民家は、「IORIサポートセンター」として古民家活用を提案するモデルハウスとして計画していたが、人的交流の促進や新たな産業創出のための社会実験としてオフィス化に挑戦した。建物の一部を貸事務所として提供、7月からは東京都のIT企業が入居している。倶楽部では、交通環境や立地条件に左右されないIT業界などを対象に古民家の活用を提案、さらに空き家改修のモデル化や移住希望者への斡旋と地元自治体との仲介などにも取り組む考え。
「清匠庵」は、国道252号沿いで只見川を見下ろす山間集落の三島町早戸本村地区にある。建物は、明治初期に建てられ築150年を超える木造2階建て延べ186平方メートルの民家で、空き家になってからおよそ30年が経過し、豪雪地帯の風雨に耐えながら次の住まい手を待ち続けていた。
工事は今年2月に着手し、約4カ月かけて改修が行われた。骨太で頑丈な構造材を活かし、古民家の風情を残しつつ内・外装は新しい木材に更新、台所やトイレなど水回りは最新設備を取り入れ、光ファイバーなど通信設備も整備した。大きな栃の木のテーブルも運び入れ、中に銅板を入れて火鉢として使用できるようにしたほか、薪ストーブも設置した。6月には来賓多数を招き完成披露を兼ねたオープニングセレモニーも行われた。
空き家対策は会津地方の自治体でも大きな課題となっている。会津地方振興局では、県外からの移住や二地域居住を促進するため、空き家情報をデータベース化しホームページで情報発信しているが、平成24年度末時点の登録件数は33件と少なく、手放し状態の空き家はかなりの数に上ると考えられている。景観や安全性の観点から、解体や改修など工事費用の支援制度を設けている自治体もあるが、即効性のある対策は見つかっていない状況だ。奥会津地方が抱える林業活性化と空き家対策を解決する画期的な取り組みとして今後の活動が期待されている。
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「清匠庵」の内部 |
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