地元にない、地元に愛される店づくり
飲食サービス業に本格進出


会津若松市 (株)南会西部建設コーポレーション
(TEL 0242-25-0231)
 本県を代表する観光地の会津若松市に、これまでありそうでなかった飲食店舗が相次いでオープンした。焼きものがメインのうまいもん処「ろばたや」と、てんぷら「天夜一夜」。南会西部建設コーポレーション(三瓶紀行社長)が中心となり、平成25年4月に新規設立した㈱お茶とプリン(社長=寺西博志南会西部建設コーポレーション専務)が運営している。両店舗のほか、事業譲渡を受けた老舗の料理旅館「田事」(たごと)の経営にも乗り出した。今後もジャンルの異なる新規出店を検討しており、「食」を通した地域活性化に取り組む考えだ。
 建設業以外への新分野進出は、福島県が認定制度や表彰制度を設ける政策的課題であるため、同社もかねてからの検討事項だった。飲食サービス業を選択したのは、関連会社が過去に飲食業を経験しており、一定のノウハウがあるほか、グループとして食材の仕入れルートを確立していることが大きな要因。大量仕入れが可能なことから、食材は全国から集まる東京都・築地から調達している。
 第1号店のうまいもん処「ろばたや」は、同市行仁町に平成25年6月に開店した。店舗は江戸時代の古い蔵を改装し、城下町にふさわしい店構えとした。内部はカウンター席のほか、8人用と2人用の個室を配置した。魚介は全て築地から天然ものを直送、三島地鶏や旬な野菜など新鮮な素材にこだわり、メニューをラインアップしている。地元でも手に入りづらい会津の地酒「飛露喜」はじめ、日本酒の品揃えも自慢の一つとなっている。

ろばたやの外観
ろばたやの外観と店内
 
 てんぷら「天夜一夜」は、ろばたやに隣接して26年1月にオープンした。目の前で揚げたてを出す天ぷら専門店がそれまで市内になく、開店当初から市民の舌を喜ばせている。
 料理旅館「田事」は、越後・米沢・下野街道が通る会津若松城下・七日町の旅籠として、江戸時代から続く老舗旅館。現在の建物は、昭和3年に建築された風格あるたたずまいで、館内には会津の民芸品や古美術が陳列され、風雅な雰囲気を醸し出している。

料理旅館「田事」の外観いろり料理
料理旅館「田事」の外観といろり料理

 後継者がなく、オーナーが高齢となったため、継承先として同社が選ばれ、25年8月に事業譲渡された。その後、老朽化した内装の改修はじめ、設備の更新等を進めており、歴史的建造物の維持・保全に努めながら、旬の食材を活かした懐石料理や郷土料理の「めっぱめし」、予約限定の「いろり料理」などを提供している。客室は全8室(うち洋室1室)。
 お茶とプリンの寺西社長は「会津にない店づくり、地元に愛される店づくりを心掛けている。この方針は変わらない」とし、今後も、会津で、競合せず、専門特化した店舗づくりを展開する考えだ。
 なお、同事業は25年度福島県建設業新分野進出企業認定を受けた。
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