地域に根ざした建設会社を目指して
3社合併し、総合力を強化


南会津町 南総建(株)
(TEL 0241-72-2516)
酒井秀明社長 平成26年4月1日、南会津町の星組、大富土建工業、福南建設の3社が合併し、南総建(みなみそうけん)株式会社が発足した。3社の得意分野を伸ばし、不得意分野を補うことで経営基盤を強化し、公共事業の大幅減少、従業員の高齢化など共通する諸課題に対応するのが合併の狙い。酒井秀明社長=写真=は「地域に密着した活気ある息の長い企業にしたい」、星拓朗専務は「発注者や地元住民から頼りにされる会社」を目標として掲げ、南会津の総合建設会社として飛躍、貢献する決意を示している。

 合併話は、星組と大富土建工業の間で十数年前に浮上し、以来、長年の懸案事項となっていた。同地域の公共事業費は平成8年度をピークに減少に転じ、建設業者数は半減した。当時の両社の社長(星公正氏と酒井秀明氏)はいとこ同士。腹蔵なく話し合える仲であり、県建設業協会山口支部役員として、社会資本の整備・維持や除雪など地域の安全・安心を支えている建設業界の将来性に対して、危機感を共有する立場でもあった。合併が必要との認識を一致させたトップ同士が幾度となく検討を重ねたものの、途中で東日本大震災や新潟・福島豪雨災害等が発生し対応に追われるなど、合併の構想は頓挫したかに思われた。
 急展開したのは平成25年。民間建築工事を星組・大富土建工業・福南建設JVで受注し、施工したことをきっかけに、大きく動き出す。3社は土木工事のほか、星組は尾瀬国立公園の工事、大富土建工業は建築工事、福南建設は舗装工事に強みを持つ。業界の行く末に対して共通認識を持っていた福南建設の羽田正社長も加え、同年8月にはトップ3氏の間で「3社の特長を生かし、総合力強化を図るため、経営状況が良好な時期に合併すべき」との方向で一致した。メーンバンクの協力も得、11月には合併へ向けた最終確認を行い、翌年1月に全従業員に報告した。
 星専務は「従業員の高齢化など、人材問題は業界全体の大きな課題。計画的に若い人材を確保し、技術の伝承を急ぐ必要がある」とし、同じ問題を抱える3社の危機意識が合併を急いだ理由の一つに挙げる。合併を機に、早速26年7月に開かれた南会津町合同企業説明会に初参加し、来春卒業見込みの高校生に、建設業の魅力や同社の特徴をアピールした。またフェイスブックなどを活用した企業PRなど、受け身ではなく積極的な人材確保策で〝選ばれる建設会社〟への転換を図り、世代間のひずみ解消を図る方針。

設立記念式典での記念撮影
設立記念式典での記念撮影


 新会社は星組を存続会社として、社長には大富土建工業の酒井秀明社長が就いた。資本金2000万円で、同町山口の旧大富土建工業社屋に本社、同町田部の旧福南建設社屋に田島事業所を配置した。従業員は前身の各社より引き継ぎ、初年度目標を前年並みとした。仲丸進一総務部長は「初年度は背伸びせず、無難な目標を設定した」と明かす。「合併会社の発足に関わる各種申請手続きにも苦労したが、3社間で現場の工程管理や経理面などでやり方に違いがあり、一体化にはもう少し時間を要する」とし、急がず焦らずに社内体制の統一化、そして人材の確保・育成、営業力強化に取り組む考えを示した。
 社名は当初検討した〝南会津総合建設〟を略したもの。ロゴマークは社員から募集し、アルファベットの「m」をデザイン化した星専務の案が期せずして採用となった。マークの緑色と青色は、南会津の自然(山、川)をイメージしている。

南総建本社社屋星専務(右)と仲丸総務部長
南総建本社社屋星専務(右)と仲丸総務部長

南総建株式会社


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