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共同受注で難題克服
地域の安全・安心を守る
宮下地区建設業協同組合
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■新たな枠組みで地域の安全・安心確保■ |
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公共事業量の減少などから中山間地の建設業は疲弊が特に進み、地域の安全・安心を守る除雪や維持補修工事への対応が難しくなっている。建設会社の倒産や廃業で契約期間中途で委託業務ができなくなるといった事例も出始め、地域住民の生活を守ることは容易ではない。「次の冬は除雪体制が組めるのか」、自治体にも不安が走っている。
こうした中、宮下地区建設業協同組合(佐久間源一郎理事長)は、共同受注でこの難局を乗り切ろうと受け皿づくりに乗り出した。管内の非組合員会社も合流、2月3日には臨時総会を開き除雪や維持補修工事の共同受注に向けて定款を改正、建設業許可の取得も目指す。管内町村長らとも意見を交換し、点から線、面への地域サービスの実現に向け、地域内の建設業が結集する。本県では初めての試みだ。
佐久間理事長は「一般競争入札の導入など、経営環境が激変する中でこれまでのやり方は通用しない。建設業が結束して共同受注する形でなければ除排雪の分担すらできなくなる。経営基盤を安定させなければ災害時の応援も難しい」と地域の窮状を語る。そして組合員以外には「やる気のある人は仲間になってもらいたい」と地域を支える建設業の責任を訴える。地域建設業の衰退をくい止め、地域の安全・安心をいかにして確保していくか、機会あるごとに行政に対して問題を提起してきた。
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■受注環境の激変でマンパワーが低下■ |
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一般競争入札が本格的に導入されたことで、県内各地区とも低入札が横行している。地域要件が緩和されたことで地域外業者の参入が進み、地元業者の経営は厳しさが増している。宮下管内では、協同組合加入会社の従業員数が10年前は約1000人だったが、平成20年4月時点では5分の1の201人にまで減少しており、豪雪地帯にとって重要な熟練除雪オペレーターの確保さえ危ぶまれる状況に陥るなど深刻な状態。
共同受注に動き出した背景には、県建設業協同組合(小野憲一理事長)が組合事業活性化特別委員会(佐久間源一郎委員長)で共同受注に関する調査・検討を重ねてきたことがある。
同委員会の連携等推進部会は佐久間氏が部会長を務めており、20年11月には北海道の千歳市環境整備事業協同組合(千歳市)と協業組合大道建設(紋別市)を視察し、共同受注や協業化について詳細な視察調査を行い、委員である奥本英樹福島大学准教授、太田久弥県中小企業中央会事務局長らとともに報告書をまとめた。
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■地域を守る仕事に穴をあけない■ |
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これらを参考に宮下地区の業者が合意したのは、組合による除雪や道路補修などの維持管理業務の共同受注体制。「万が一、担当会社が倒れたとしても、他の組合員がフォローする。地域を守る仕事に穴はあけない」。
2月3日に三島町の宮下建設会館で開いた臨時総会では、共同受注に乗り出すことを決め、定款を変更した。また「やる気のある管内業者が全員で地域を守る」を合言葉に、非会員5社の入会を認め、12社体制で建設業として管内の地域サービス体制を整えた。組合事業に「組合員の行う土木工事、舗装工事、とび・土工工事及び道路維持管理等の共同受注」を追加、将来を見据えて一般建設業の許可を取得することも合意し、監理技術者に佐久間宗一専務理事を選任した。2月6日に県会津地方振興局から定款変更が認可され、法人登記も完了した。まず県の業務で実績をつくり、官公需適格組合などの認定を視野に入れながら市町村業務でも共同受注を目指し、地域における雇用の安定を図る。
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(写真は2月3日に開かれた臨時総会) |
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