歴史資源でまちおこし
桑折町建設業の活力再生と街づくり推進協議会
街道などの歴史的資源を生かし、住民主導の歩いて楽しめる地域づくりが盛んな桑折町で、地元建設業による新たな試みが展開されている。建設業団体が中心となる「桑折町建設業の活力再生と街づくり推進協議会(熊本晴雄会長)」は、林業や商業、観光業などと連携し、桑折産の竹等を用い、来訪者をもてなすための修景整備を実施。古材のチップ化にも取り組み、建設業がまちづくりに貢献しつつ、持続的に発展する事業モデルを模索している。
協議会は、こおり建設事業協同組合、建設業組合、建設業連合組合、管工事業組合、電気工事組合、商工会建設業部会の町建設業団体、林業・観光・まちづくりなど、14団体と町で構成。国の「建設業と地域の元気回復助成事業」の支援を受け活動している。
互いに連携し、建設業のものづくり技術と地場産品をまちづくりに生かし、来訪者に対するおもてなしの舞台づくりを提供。サービス業への進出も視野に入れ製作・販売・設置・レンタル・リース・リサイクル等の事業モデルを開発し、持続性のある地産地消の経済循環システムを構築する。材料供給、製造販売等による林業、建設業の活性化のみならず、観光・商業への波及効果を促し、町全体の活性化につなげる。
21年4月の協議会設立後、初めに観光まちづくりの先進地である由布院・黒川温泉を視察。来訪者をもてなす道具立てなどを学んだ。その後これまでに、竹などの地場木材で縁台102台、門飾りとプランター各80基、店先黒板(案内板)約60基を製作。坪庭は商店、企業などの協力を得て10カ所に設け、協議会らが主催した、まちづくりイベントで人気投票を行った。史跡等を紹介する標柱(23基)、案内サイン(5基)、町内8カ所への黒塀(8カ所、計60m)の試験設置も開始し、21年10月に開催した竹灯籠まつりでは、県道国見福島線(奥州街道)に並ぶ1200個の灯籠を作り幻想的な世界を演出した。
また、チッパーシュレッターを購入し、イベントで使用した竹などの古材をチップ化、肥料とするリサイクル事業にも取り組んでいる。特に竹チップについては、肥料が町特産の桃をはじめ果実の糖度を高める効果があり、商工会と連携し販売化を図り、将来的には町外への販路拡大を目指す。
事業を進めていく上では、商店などの異業種はもちろん、建設業といっても業種が幅広いことから、会議を何回も開き意思の疎通を図った。熊本園芸会長の熊本会長、渋谷建設社長の渋谷浩一町商工会副会長は「地域における建設業のあり方を模索した。住民との連携により新たな地域づくり、まちづくりが生まれてきている」と、活動に手ごたえを感じている。今後も町民や利用者の声を聞きながら、各種事業に取り組み、地域における新しい建設業のあり方を模索していく。
協議会で製作した坪庭
イベントをPRする熊本会長
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