建設業・商業・観光・教育機関が連携

蔵再生による地域創生協議会
 建設業と地域の元気回復事業に採択された「くら再生」による活力ある地域創生事業が動き出した。喜多方市内の建設産業が、商業、観光協会、教育機関等と連携し、自然・歴史・文化等の豊富な地域資源を生かすため、窓口となる「まちセンター」を立ち上げ、蔵の再生を通して地域活性化を図り、観光産業等での新ビジネスモデル構築に向けて調査研究と実証事業を行う。県建設業協会が事業管理者で、同喜多方支部、喜多方市建設業組合、県建築士会喜多方支部、喜多方蔵の会、会津北方小田付郷町衆会、喜多方観光協会、会津喜多方商工会議所、県立喜多方商業・同工業高校、喜多方市で構成する。
 推進協議会の設立総会は22年1月13日に喜多方市の建設会館で開かれ、高橋傳夫県建設業協会喜多方支部長が蔵再生による地域活性化を宣言、事業管理者となる同協会の高木明義専務が、地域の熱意が伝わり事業が採択された経緯を紹介、「蔵の保存、適正な改修でさらに魅力を高め、異業種との連携で地域経済の沈滞ムードを一掃したい」とあいさつした。
 総会では、「地域の宝である蔵を救うには、これまで積み上げたソフト事業に加えハード面の整備が必要」「ラーメンが観光客を呼び込む中で蔵再生が一歩遅れた」などの意見もあり、蔵を前面に出して観光客の滞在時間延長につなげることを確認した。
 調査研究事業として、〔1〕事業計画策定、アンケート調査、〔2〕まちセンター創設、〔3〕エリアマネジメント研修会、〔4〕蔵の利活用のための実証事業、〔5〕建設産業によるビジネスモデルの実証事業―を行う。実証事業では利活用を進めるため蔵改修士による伝統工法実習・講習会を開催する。観光ビジネスモデルとして蔵補修による利活用の展開を実証する。
 喜多方市内には4200もの蔵があり、古くから景観を形成し蔵文化を育んできた。蔵本来の機能で現在も使われているものが3割、ただの物置となった蔵が3割程度あると見られる。行政、観光団体、建築士や左官、大工、企業が得意分野を持ち寄り、蔵再生を進める。
 推進協議会は、事業前半で建設業のノウハウ活用などの検討、蔵診断、工法の検討、蔵の街並み実証実験、窓口となる「まちセンター」をオープンする。事業後半には蔵資源のデータベースを作成する。「東北蔵のまちサミット」を開催して全国に発信、蔵再生による地域活性化で広域連携を図る。
 2月6日には、蔵所有者や建築士などがシンポジウムで、柱がない巨大な空間、窓が極端に少ないなど蔵の構造的特徴を生かし、多用途に活用できるリフォームを考えた。また、能登半島地震で被災した土蔵の再生事例で、事業資金を多面的に確保している取り組みや、空き家となっている蔵などに新たな価値を吹き込み、新しい住まい方を提案している山形県のケースなども紹介するなど、蔵再生に向けた動きは活発化している。

喜多方の景観を形成する蔵群
喜多方の景観を形成する蔵群


総会風景
総会風景


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