除排雪に大きな貢献
正月返上で県民生活守る

福島県内の地場建設業
 平成22年12月から23年1・2月にかけ記録的な積雪に見舞われた会津地域では、道路・歩道などの除雪・排雪に建設企業が大きな役割を果たし、地域社会の円滑な生活確保に、なくてはならない存在になっている。

 
写真は軒下除雪(左)と夜間の除雪作業(右)


 会津エリアでは、国土交通省郡山国道事務所が管理する国道49号のほか、会津若松・喜多方・南会津各建設事務所や宮下・猪苗代・山口の各土木事務所、会津若松市、喜多方市ほか市町村もそれぞれの管内で建設産業に除雪を託している。
 このうち会津若松建設事務所では、東北土木(小野恵五社長)を中心に、共立土建(三瓶英才社長)、三立道路(浅沼秀俊社長)の3社で国道118号ほかの車歩道の除・排雪に取り組んだ。
 22年暮れの大雪では、12月25日から夜間作業を含め各現場に張り付いた。
 バックホー、ドーザ、ミニバックホーなどを投入し、12月28日から30日まで作業したほか、大晦日、元日を除き23年1月2日から6日まで、厳寒の中、正月返上で作業に従事。警備員も動員し、市民生活確保に取り組んだ。
 雪が降り出すと、出動前の午前3時に雪の深さを測定(検測)し、除雪するかどうかを決定する。作業開始に当たっては事務所の担当者と密接に連絡を取り合い、適切な采配を確認し、事故などが起きないよう細心の注意を払った。
 国・県・市道によって状況は異なるが、通常は午後6時ごろから作業を開始し、通勤・通学に支障の出ない午前5時~7時ごろまでに作業を終える。激しい吹雪など、夜通し重機を操作した現場も多い。
 集めた雪はトラックに積み込み、会津若松市の湯川河川敷きほか、指定された排雪場に持ち込み、順次河川に流し、処理した。
 このほか会津若松市は毎年、会津若松除雪協力会(弓田八平会長、92社)と契約を交わし、市道の除・排雪作業に当たっている。喜多方でも、除雪業務委託企業連絡協議会(佐藤孝会長、64社)に委託して対応。
 通常の除雪作業は、降雪前に道路わきにスノーポールを立て、その際に道路状況を確認するなど入念な準備から始まり、道路わきの縁石の雪を鮮やかに切り取る「技」は、事前の準備と長年の経験の賜物とも言える。危険には配慮しているが、夜間など視界を失って側溝に転落する危険もあり、重機オペレーターにとっては命がけの仕事でもある。
 懸命な除雪後に、建物前の残雪などでクレームが寄せられることも多く、受注を渋る企業があるのも事実だ。
 降雪で工事現場の作業が止まるなど「除雪は災害」との認識も高まっており、ボランティアでは対応しきれなくなっている実情もある。

 
写真は排雪場での雪処理(左)とトラックに雪を積み込む作業(右)


目次へ