多彩な活動で地域に貢献
JR水郡線の駅舎清掃/久慈川の河川清掃活動
工事現場ふれあい見学会/花見ケ丘をつくる会


棚倉町 藤田建設工業(株)
(TEL 0247-33-2281)
■JR水郡線駅舎でクリーン作戦
 「社員の思いが会社動かす」。藤田建設工業(本社=棚倉町、藤田光夫社長)は、矢祭町から郡山市までのJR水郡線の19駅舎を対象にした環境整備活動に取り組んでいる。
 様々な人が行き交う駅は、町の「玄関口」であり町の魅力を発信する情報施設。通勤・通学で駅を利用する地元住民、鉄道を利用して観光などで県南地方を訪れる来訪者も多い。駅や周辺の環境美化活動は、気持ちよく駅を利用することで町のイメージアップと地域活性化にもつながる。
 本県の最南端に当たるJR水郡線東白川郡矢祭町にある矢祭山駅から、郡山市田村町の磐城守山駅までの19駅舎が対象で、作業は駅舎の窓拭きや待合室の床磨き、天井のクモノス取りからトイレ掃除などの清掃作業、駅前広場の花植えと県道駅停車場線の除草、沿道植栽などを施し景観アップも行う。

駅舎清掃のもよう
駅舎清掃のもよう
 スタートは7年前の平成16年。当初は磐城棚倉駅から矢祭山駅までの9駅舎が対象だった。男性社員互助会の「朋友会」、同じく女性社員の「藤の会」が「子どもたちが利用する駅をきれいにしてあげたい」「公共の施設を汚さず大切に利用する心を育んでほしい」との思いから清掃活動を始めたのがきっかけ。現在も職員が常駐する駅は磐城石川駅(石川町)のみ。一部の駅には切符販売などを手伝う地元住民の嘱託管理者もいるがほぼ無人駅状態で、管理にあたる茨城県大子町にある水郡線大子町営業所も手が届かない。
 活動から2年、休日や平日早朝に行った社員有志の地道な取り組みが経営トップを動かし、5年前の平成17年からは19駅舎に対象を広げ、シーズ、キコーなど同社関連会社も含めた全社的なボランティア活動につながっていった。
 「鉄道の日」の昨年10月14日には、JR東日本から、駅の環境整備と水戸支社が進めている「駅花いっぱい運動」で、磐城石川駅での継続的な活動協力に対して感謝状が贈られている。

■社員有志が久慈川を守る会設立
 「昔のように子どもたちが安心して川で遊べる空間を取り戻したい」。同社と協力会社の社員有志が久慈川第1漁業協同組合と連携して平成21年に「久慈川を守る会」を設立、川の環境美化に取り組んでいる。棚倉町内を流れる久慈川の市街地南部にある祖父岡橋周辺の清掃美化活動。周辺にはサイクリングロードに東屋、トイレなど休憩施設、堤防には階段も設置され、河川敷に降りてバーベキューや水遊びもできる親水空間だが維持管理が行き届かずほとんど利用されていなかった。
 同会では、子どもたちが昔ながらに川遊びのできる空間を取り戻したいと同社の深谷明雄さん(現・キコー社長)を中心に社員が結束し関係者に呼びかけ実現した。
 春と秋の2回、草刈りやごみ拾いなどに取り組んでいる。現在の会員は同社と関連会社、漁業組合など合わせて309人。今年2月には県南建設事務所、棚倉町との間で「うつくしまの川サポート制度」も調印した。サイクリングロードを有効に活用し、河川敷では親子でバーベキューを楽しめる安全な川づくり、川に子どもたちの笑顔と歓声が戻るまで活動を続けていく。

堤防の除草作業
堤防の除草作業
■JR磐城石川駅周辺に花見ケ丘をつくる会
 JR水郡線磐城石川駅の構内や駅に隣接する国道118号斜面などを四季折々の草花で飾り、駅周辺に花見の名所を作る取り組みにも協力している。事業主体は駅周辺の住民有志で組織する「花見ケ丘をつくる会」。住民の協働作業による景観美化活動をきっかけに地域の絆を深め、住民手作りの「花見ケ丘」を観光名所に、駅周辺さらには町全体の活性化につなげるのが狙い。同社は作業を円滑に行うための裏方としてサポート役に徹する。

ツツジの苗木植栽
ツツジの苗木植栽
 会は平成22年7月に駅前食堂で設立総会を開き、会長には駅前町内会の丹内春夫さんを選んだ。発足式で丹内さんは「駅前に元気を取り戻すための一歩がようやく踏み出せた。藤田建設工業さんの力を借りながら町民の心を一つに取り組んでいきたい」と語り、同社への感謝と今後の活動に対して決意を述べた。協力者は増え、設立当初10人だった会員も現在23人になった。
 作業は年4回程度の草刈りや植栽、剪定作業など。リュウキュウツツジ、アジサイ、コスモス、ヒマワリなど一年を通じて四季折々の花々が楽しめる「花見ケ丘」には、駅職員の協力で線路の枕木を再利用した手作りの遊歩道も整備する。地味で息の長い活動は始まったばかりだが、作業に取り組む住民たちの晴れやかな笑顔が印象的。今年2月には会と県中建設事務所、石川町の3者による「うつくしまの道サポート制度」も調印した。
 将来は双葉郡富岡町にあるJR常磐線「夜ノ森駅」に負けない、水郡線沿線一の風景を描く絶景車窓が夢だ。
■子どもたちと工事現場ふれあい見学会
 建設中の工事現場に子どもたちなどを招待、地域住民とのコミュニケーションを築きながら道路や学校など公共事業の大切さや建設業の魅力を紹介するための取り組みも進めている。
 平成20年から今年まで、近津小学校(棚倉町)、鮫川小学校、青生野小学校(鮫川村)、東舘小学校(矢祭町)、塙中学校(塙町)の改築・改修工事で児童生徒を招待。丸ケ草地区(塙町)、酒垂地区(鮫川村)の道路改良工事は現場周辺の住民を招待した。
 各現場ではダンプカーやバックホウなどの重機の体験試乗や現場にちなんだオリジナルの建設クイズなどが用意され子どもたちは楽しみながら建設業に理解を深めた。

東舘小学校の集合写真
東舘小学校の集合写真
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