2012
山間地に必要な「生活応援隊」
買い物弱者の足 ハッピーシャトル便運行


只見町 美馬建設(株)
(TEL 0241-82-2155)
 美馬建設(美馬典昭社長)は、高齢者などの買い物弱者をスーパーマーケットへ送り迎えする「ハッピーシャトル便」を展開している。建設業とは毛色の違う分野だが「建設業は工程によって空き時間が生まれる。その空き時間で農業支援をしていたが、その中で只見町特有の課題が見えた。農家のお年寄り単身世帯が、買い物に行く手段に困っていた」と、美馬社長は買い物支援を始めた理由を振り返る。

高齢者を送迎するハッピーシャトル
県高齢者を送迎するハッピーシャトル

 公共交通が不十分であり、交通手段を持たない高齢者が多い同町では、行政や民間の介護等サービスだけでは対応し切れない課題が意外と多い。美馬社長は、高齢単身者などの弱者を支える、セーフティーネットに近い生活応援隊が、過疎山間地には必要だと考えている。「近くにスーパーマーケットがなく、車で買い物にでかけることができない高齢者。この人たちの足になれば」と、自宅・スーパー間を送迎する「ハッピーシャトル便」を始め、平成26年で4年目に入った。
 美馬社長は「できる範囲で無理せずに、タクシーなど本業の方々の邪魔にならないことも大切」と話す。長年、町に住み、地域内の事情、バランスを知るからこそ出てくる言葉で、12月中旬から3月までの毎週水曜日、普段は作業員の送迎に使うワゴン車で運行を続けている。金山町に隣接する塩沢地区に商店が1店もないため、この地区の70~80歳代など15人が利用登録している。
 最初は自ら行商しようかとも考えていた美馬社長だが「ベテランに加え、20代、30代の社員にも、社会貢献活動を長く続けてもらいたい」と若い社員の能動的な行動にも期待している。
 同社の取り組みは、福島県社会福祉協議会広報誌「はあとふる・ふくしま」25年12月号でも紹介され、注目されている。

目次へ