根株を炭化し施工現場へ
~県中地方林業土木協会若手会の取り組み~
県中地方林業土木協会若手会
 県中地方林業土木協会若手会は、福島県県中農林事務所管内の林業土木業者19名で構成されている。
 緑資源循環利用研究会(会長=渡辺裕樹県中農林事務所森林土木課長)の一員として、森林土木工事などで発生する根株を炭化し、施工現場に再利用するシステムである「根生窯」を官民一体となって開発した。新型炭窯「根生窯」が完成するまでには様々な紆余曲折があり、築造にあたっては県中林業土木協会若手会の豊富な経験・技術が活かされた。
 ▽会長=赤羽隆((株)赤羽組)▽会員=星野勝則((株)星野組)、真船公吉((株)関組)、安藤司((株)安藤組)、板橋幸典(板橋建設(株)、関根弘幸((株)関根組)、近藤昭一(水谷工業(株))、石井敏也((株)石覚組)、佐藤徹((株)佐川建設)、柏木寅三(渡富建設(株))、二瓶重信((株)二嘉組)、名倉健一(大一建設(株))、武田公志(三和工業(株))、城野政幸((株)城野組)、鈴木廣(鈴五建設工業(株))、柳沼伊知郎(緑物産(株)福島支店)、本橋明((株)本橋建設)、柳沼護(柳沼建設(株))、吉田信夫(渡辺工業(株))
「根生窯」の沿革
 平成11年9月に設立された「緑資源循環利用研究会(事務局・県中農林事務所森林土木課)」のメンバーによって開発され、県中地方林業土木協会若手会が技術と経験を発揮して築造した。
 林道開設工事などで大量に発生する根株を炭化する窯のことで、渡辺裕樹会長が命名し、平成14年1月にはそのお披露目と表札の掲揚式が行われた。
 緑資源循環利用研究会は初年度に伏せ焼き法による炭化試験を実施し、平成13年度は継続して改良窯による炭化試験や小屋作りを行った。「根生窯」の構造は2年間にわたる試行錯誤を重ねた研究成果に基づいて完成したもので、その築造にあたっては若手会がボランティアで活躍し、この功績に対して緑資源循環利用研究会から赤羽隆会長へ感謝状が贈られた。
 平成14年度は引き続き、炭化試験を行い原型のままの根株や丸太を破砕したチップなど様々な形状物を炭材として試験する計画をもっている。また生産した炭を利用した工法を検討し、施工試験を継続する。
根株の現状と林野庁の対応
 建設工事に係わる資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)によって施工地で発生する根株は、再資源化するか産業廃棄物として適正に処理しなければならなくなる。
 森林土木工事で大量に発生する根株は、これまで土砂流出防止柵工や根株暗渠工、キノコ植菌伏込工などの資材として現場内で自然還元利用を原則としてきたが、根株をそのまま利用する方法には限界があった。
 林野庁は、林道工事で根株など建設副産物を有効利用する手法に関してА一般建設工事における先進的技術や事例調査、ゼロ・エミッションへの先進的な取り組みを行っている諸外国の事例調査Бモデル的な事例について現地適応の検証を行い、林道工事に導入するための技術的な検証などを実施し、林道工事における適正処理を推進するための指導マニュアルを策定するとともに、処理手法工種の適用基準などについて検討を行う-ことを指針とし、林道事業の効率的な推進を図るため、根株リサイクルを本格導入することを決めている。
県中農林事務所の根株リサイクル事例(平成13年度)
 ▽木炭袋を使用した盲暗渠工▽排水施設流末処理用の根株流末工▽袋タイプの小動物脱出板▽その他作業の省力化・水質浄化
 いずれも工種毎の材料および歩掛をデータとして算出している。
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