ITビジネスを展開
会津土建(会津若松市)
新会社・エマキを設立
 会津若松市の会津土建(株)(菅家洋一社長)は、ITビジネスを請け負う関連会社として(株)エマキ(会津若松市東栄町2の8、菅家洋一会長、秋月直道社長)を立ち上げた。全国に先駆けて開発したデジタル画像処理「Mofix」(ムーフィックス)を活用し、IT導入による写真技術で、物件の維持・管理システムなどに新たなビジネスを展開する。
 これまで台帳ベースだった施工管理業務を電子化することで、省スペース・低コスト・半永久的な管理を実現し、道路、河川、送電線、トンネル内壁、下水管路などの画像による管理業務に大きな威力を発揮する。
 Mofixは、同社がイスラエルのヘブライ大学と独占ライセンス契約を結んだ画像処理技術。同大学の特許管理財団と結んだ基本特許でもあり、建設関連業務への応用については、世界中でもエマキのみが権利をもつ。
 この技術を活用すれば、撮影対象物に正対し、横移動によるつなぎ目のない長い写真作成など、これまで製作不可能とされていた高画質の静止画像の提供も可能。ヘリコプター・セスナ機搭載のビデオで空中撮影した動画や、検査車両で撮影した画像を1枚の長い静止画像にするソフトウェアとも言え、従来の航空写真作製工程を自動化したことから大幅にコストが縮減され、製作日数の短縮などほぼ1/10の価格での製作を実現した。
 菅家会長は「インターネット時代だからこそ、フェーストゥフェースが大切」と語り、新しい技術の導入に世界中を飛び回る。さらに新技術は県が進める環境保全の思想と合致することにも触れ、いかに一般市民との連携を図るかなど、今後の事業の展開を見据える。
秋月社長は、新技術を活かした画像処理サービス会社を設置したい意向を述べ、産・学・官を中心に広く門戸を開放する方針を説明。新たなベンチャービジネスをどのように拡大するか検討し、今後大きく展開する町村合併に関連する業務など、さまざまな分野への応用を模索する状況を述べた。
 公共事業への参入にも積極的に取り組み、すでに各官庁(国土交通省東北地方整備局青森、秋田、三陸、郡山国道、北陸地方整備局阿賀川、高田、信濃川下流の各工事事務所、県会津若松、南会津、県中、いわき、喜多方の各建設事務所、東北・東京電力、北陸建設弘済会、日本道路公団、日本技建など)と契約を結び、計画、施工、竣工、管理まで活用を図る状況となっている。東北地方整備局の「建設技術提案(3D)表彰」(新技術開発・新技術活用部門)も受賞した。
 具体的な技術活用の事例では、会津北縦貫道予定地空撮や国道8号状況デジタルモザイク作成、風越トンネル内壁や下水道内壁展開の静止画作成業務などの受注で実証済。
 表示形式はインターネットエクスプローラーを利用した操作性重視のシステムとなっており、導入効果では従来の紙ベース管理ではできなかった平面図や単体写真、文字、数値情報を写真に取り込むことができ、調査図面と画像の同時表示や、基準となる垂直画像のほか斜め45度からの景観画像も採用できるなど目視に近いリアリティ把握が可能となった。
 環境が変化する時間的経過の確認や、過去の状況確認など、データを活用することで今後起こるあらゆる可能性も想定できるなど、応用の幅は広く、将来的に、発注官庁が求めることも予想される維持・管理のデータ処理にも対応できる。
 さらに13年2月にドイツ・ハノーバーで発表された専用メガネをかけずとも立体映像となる写真処理技術も導入、使用承諾を得て、さまざまな応用を探っている。
会津若松市は下水管内調査を委託
 会津若松市は昨年11月に東山温泉街の公共下水道管内調査および内壁展開静止画像作成を同社に委託し、ことし1月9日にCDROMで詳細な結果報告を受けた。
 業務は管径450mmおよび800mmの下水管内部をビデオカメラで撮影し、遠隔操作でクラックや老朽化の状況などを調査、必要個所でレンズを回転させてズームで拡大するなど、コンピューター処理で写真化した鮮明な画像でクラックの状況を把握。同市は今後の布設替に活用する方針。


インターネットで確認できる下水道管の展開写真

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