継続勉強会を開始
県建設業協会郡山支部
会員の体質改善、強化
 県建設業協会郡山支部(佐藤安宏支部長)は、公共投資削減、聖域なき財政構造改革など現下の建設業界の厳しい環境に対し、勉強会を開始した。
 平成12年度から行っている「法律勉強会」に加え、新たに「組織」「施工」「労働安全」の3方向から建設業の課題と問題点を探り、さらに時事問題との関係も明らかにする「継続勉強会」(愛称)をスタート、会員各社の体質改善、強化を図っている。
 勉強会は、従来の「講演会」にありがちな、一方通行の講演聴取スタイルを廃止し、建設産業に携わる立場の者同士の「意志疎通」のある「行政とのイコールパートナー」への発展性が期待できる、勉強会の継続が狙いだ。
 勉強会要領の「目的」では、文言が堅いが、建設業の現状を「長期の不景気状態から構造改善、低コスト化と工期短縮、人命尊重の考えによる労働災害根絶、入札・契約適正化法施行に伴う競争性、透明性の発揮、OA、IT化、電子化」の真っ只中にあるとして、「経営の健全化を達成するためには、自らが取り巻く諸条件について系統的、継続的に研究し、認識を深める必要がある」と結論づけている。
 「米百俵の精神の建設業改定版」を、郡山支部は「勉強会」としてスタートさせた訳で、第1回目の研究課題は「住民参加とNPO」。
 1月18日に郡山建設会館2階で行われた開講式には、来賓に富山隆郡山労働基準監督署長、蛭田公雄県中建設事務所長が出席した。
 第1回の受講者は「受講対象者の中堅社員」40人。構成メンバーを見ると代表取締役、専務、常務、取締役工事部長、営業部長、工事課長、工事主任、所員とバラエティに富み、間違いなく郡山市の建設を担うかなりハイレベルの「中堅」だ。
 開講式冒頭、勉強会を所管する同支部技術委員長の武田輝夫副支部長はあいさつで「私たちが生業とする建設業は、GNPの推進、雇用の確保、景気回復の原動力としての役割を担う重要産業と位置づけられてきた。現在の快適な生活環境、経済大国としての生産基盤の建設、造成も建設業界の努力によって達成され、この重要性は今後も変わらない。しかし、現在の環境は、世論、経済、財政事情などどれをとっても誠に厳しく、企業経営を維持する事さえ不安と危機感を抱かざるを得ない」と控えめながらも建設産業の自信と重要性そして危機感を披瀝した。一息おいて、「このように厳しい時代だからこそ、じっくりと腰を据えた勉強が必要なのではないか」と結んだ。
 第1回勉強会「住民参加とNPOについて」は、講師に沼田典雄県中建設事務所主幹兼次長を迎えて開かれた。
 まず、「住民と行政の関係づくり」では、県中建設事務所職員が中心となって活動しているNOP組織「胴長軍団」の活動を「ノーサイド(敵も味方もない)。職員が自主性を持って自ら提案し職務の範囲にとらわれず地域に良かれと思うことを実践すること」として①活動を通して職員自らの意識改革や自己啓発ができればベスト②住民の中に私人として入っていける人材の育成③離れたところから自分(行政)を見てみることの重要性を指摘。
 さらに、「組織は打てば響く人が1割か、あるいは5%いれば組織は変わるものです。賛同者はグループをつくって自主的に行動し、所長も技師も同レベルが基本。みんなが先生、みんなが生徒、指名されれば必ず発言するのです」と語った。
 活動ポイントは①地域の文化を見直す大切さ②仕事に生かせるものはどんどん生かす積極性③学習する風土づくり④お互いが先生の認識で自主的に⑤おおいに酒を酌み交わそう⑥そして転勤先でも頑張る仲間づくり(継続性)を強調し、「建設業に住民が応援団となるような」考えで業界の人材と、ノウハウ、ネットワークが図れる団体としてのNPO、地元に根ざした建設業の新しい展開について理解を求めた。
 第2回勉強会は2月1日、遠藤光一県中建設事務所河川砂防課長を講師に開催。
 テーマは「まちづくりについて、いま、競争と淘汰から新しい建設業へ」。第1部「いま、建設業をとりまく背景」、第2部「いま、江戸から水環境を学ぶ」、第3部「いま、現場がおもしろい」からなる3部構成だ。
 第1部では「建設業を取り巻く環境は、少子高齢化、地球温暖化、建設業者倒産数など社会経済状況と関係しており、まちづくりと地方分権化の中で建設業はマネジメントしていく体質が求められている。ISO取得もそのためであり、対外的に商品価値があるマネジメントされたものをつくっていく時代」として、リスクマネジメントの重要性を指摘した。
 第2部では、訪日外国人が「夕方だれでも自分の家の前を掃き、打ち水する」(エドワード・モース)世界一清潔な最大の都市の「江戸」の水環境を「再発見」、まさに水こそ生命の起源と定義。
 第3部では、「これまでの社会資本整備は陳情行政が主流だったが、これからは走りながら考える、止まったらどつかれる、振り返ったらひっころぶ」とも。
 今、逢瀬川を舞台にいろんな人が逢瀬できる仕掛けに取り組んでおり「流域の営みを映し出す感性教育が生きづいてきた」として「とにかく、ワクワクと楽しくやること。これからの建設業は、一緒に汗をかこう、住民と一緒に汗をかこう、住民評価第一に、心の癒し、和みのある社会資本をつくっていこう」と締めくくった。
 第3回勉強会は2月22日、郡山建設会館で平子光基郡山労働基準監督署安全専門官を講師に開かれた。テーマは「建設現場における安全衛生管理体制について」。
 平子専門官は①安全衛生管理体制整備について、「基本的には、現場の組織をきちっと整備すること」と述べ、「組織と各責任者が安全管理の役割分担、責任を果たすことが出発点」として管理責任者の責任の重要性を指摘した。
 ②請負形態から見た考え方では、「建設業は下請(協力業者)を使用することが多く、下請も元請の責任体制の中で下請として受け入れられるのではなく、下請としての自主責任が求められ、下請にそれだけ権限が委譲されている」と述べ、下請の自主的な安全、意識啓蒙活動と意識改革を要請。
 ③店社と現場の関係についてでは、「店社も現場を見る責任があり社内には安全管理責任者がいるはずで、事業主も社長に代わって安全管理する権限を委譲する現場責任者に権限委譲する指示を出す体制整備が重要となる」として安全管理体制の整備を求めた。
 「勉強会は中堅社員、後継者など経営サイドのメンバーで構成されており、1回限りでなく継続的に研修できる点も有益だ、中堅社員が安全意識を高めることで現場管理が向上することが期待できる」と評価。
 同労働基準監督署を講師にした勉強会は、これからも「工程管理」「責任」をテーマに予定されている。

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