セントラル建設、太陽光発電システム販売で全社全員営業
 セントラル建設(岐阜県恵那市)の母体は、明治元年創業のカネ九商事という雑貨商(現在は建設資材商社)。だから先代経営者らは、単なる土建屋の社長(おやじ)ではない。代々、起業家であり、事業家である。そんな気風を受け継いだ5代目経営者の阿部伸一郎社長は、自社の事業を冷静に客観的に俯瞰することができる。
 「公共事業は先が見えている。経営者としては、この目に見えるリスクをヘッジしておかなければならない」
 極端な転身を図ろうということではない。あくまで本業の建設業に軸足を置いての、新事業への取り組みを阿部社長は考えていた。指向すべきこれからの事業分野は「環境」、加えて「公共から民間へ」の販路ウエイト比率も変えていきたい。そんな思いで阿部社長はリサイクル展などに何度も足を運んだ。納得できれば、扱う商品にこだわるつもりはなかった。ただ、思いを行動に移すための新しいきっかけがほしかったのだ。
 阿部社長は屋根の構造体と一体化した太陽電池、すなわち太陽光発電システムと出会った。国内トップシェアのシャープアメニティシステム社と提携し、直ちに販売体制を整えた。3ヶ月後には「全社営業だ」と、セントラルグループ社員の8割に1泊研修を受講させた。このビジネス・スピードは凄い。
 目標年商は3億円。平均300万円のシステムを100セット販売する。それで終わりではない。取り付けてくれたお宅には時折訪問し、リフォームや外構工事(エクステリア・ガーデニング)なども提案する。「民需拡大のきっかけにもなる事業」でもある。セントラル建設の仕事は個人客との距離がやや遠い。それを一気に縮めようとする、大胆な戦略である。公共事業体質の会社なら普通、こういう取り組みは社員の抵抗にあってうまくいかない。
 「太陽光発電システム販売事業は、みんなで新たなことに挑戦する。そのきっかけづくりなんです。ですから、人任せでなく私が率先して営業しています。本気で動けば、社内に何かが生まれるのです」
目次へ