間伐材を生かした「木工沈床」で自然環境を創出
 ナチュレックス(長野県伊那市)は、日本の伝統的な土木技術「木工沈床」を今に甦らせた土木施工用枠体『ネチュラルウッド』を開発した。県内の山から切り出された間伐材を活用した環境製品だ。
 『ナチュラルウッド』は幅と奥行き2メートルのカゴ状の木枠。中に石を入れると護岸用の木工沈床になる。そのほか根固め、土留めなど、さまざまな用途がある。自然素材なのでコンクリート護岸などに比べて環境にやさしい。河川に入れれば木枠の中の石にコケが生え、魚が寄ってくる。
 ー方、施工側にすれば、組み立てが簡単で工期が短縮でき、コストも下がる。また、畳むと平たくなる形状なので、現場へも運びやすい。従来の木工沈床と比較して約2割の工費削減が可能という。
 「何よりも、間伐材の活用は山を守ることにつながります。崖崩れなどの災害は木の手入れをしていないことが原因ですから。間伐材は、今は値段がつかず、放置されている。とくに直径15センチから20センチの中目材は利用用途がほとんどなかった。
しかし、製品の素材として活用できれば、どんどん出てきます。間伐を推進することで、結果的に山も生き返るわけです」(同社)
 ナチュレックス社長の清野篤氏は清野建設の社長も務める。その清野氏は「今後、公共事業が減っていく。これは揺るぎない事実です。対処する方向性は2つしかない。大幅にリストラするか、あるいは新規事業を開拓して維持・拡大していくか。
私たちは後者の選択をしました。それも『環境』というテーマに沿って、新たな建設業を目指したいと考え、ナチュレックスを設立しました」と語る。
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