新しい形態の建設業へ挑戦
全社営業体制を構築した三金興業
■全社営業体制を構築した三金興業■
 建設産業界は公共投資の激減、不況による民間設備投資の減少で未曽有の危機に陥っている。
 そうした中、建設業から新分野への進出やリストラ、廃業等様々な対応を余儀なくされている。建設業を継続しながら、新しい形態の建設業への脱皮に挑戦している企業を紹介する。 
 白河市の三金興業(金子芳尚社長)では、平成15年6月の株主総会及び取締役会において、時代に対応した新体制を構築、業務をスタートさせた。
 建設業の仕事が激減する中、従来型の請負業から脱皮して、地域社会全体をお客様と捉え、地域社会にとけ込み、密接に繋がることで仕事を捉えて行く体制として、現場第一主義の全社員営業体制を構築した。



 新体制は、経営グループを中心として、その周りに土木営業グループ、建築営業グループ、サポート営業グループの3つのグループが繋がり、相互協力する。特に、現場が直接お客様に接することから現場第一主義を徹底し、営業、本社がそれをサポートする意味から、サポート営業グループという名称を使用している。そして従来の部長、課長、係長といった縦型の役職をなくし、グループ長、チーフリーダー、チーフの3段階として簡素化した。
 同社は7年前から年功序列を廃止し、昨年からは職能給を採用、社員一人ひとりのレベルによって給与を決定する仕組みを導入している。
 新体制に移行して3カ月後、金子社長は「まだ効果はそれほど現れていないが、横の繋がりが密になって仕事が円滑化するようになった。また、営業と現場の関係がスムーズになり、ムダやミスが少なくなった」と語る。
 最終目標としては、従来の受注、請負的な産業から脱皮して、建設サービス業としてお客様(施主、発注者、利用者、生活者)に満足して頂くと共に、地域社会から頼りにされる企業へ、そして、地域づくりのためのプランナー、設計、施工、メンテナンスまで一貫した地域づくりコーディネーターとして脱皮したいとしている。「一番大事なことは、社員の意識改革。サービス業として、スタンドやホテル等と同じようにお客様に対応して行くこと」と言う。今まではどちらかと言えば発注者に向いていた現場の作業を、常に周りの地域の人や利用者のことを考えながら対応する重要性を指摘する。
 「会社の社員も全て地元の住人であり、地域発展の重要な役割を果たしている。会社も地域社会の中で特化していかなければならない」と地域のために会社も社員も地域づくりの主人公になるとともに、お客様の潜在意識を掘り起こして仕事を創出する必要性を説いている。
■ホテルも運営■
 また、同社は昭和61年からホテル業に進出、ホテルサンルート白河を東北新幹線新白河駅前にオープンさせている。



部屋数は165室で、宴会場9室、チャペル式場、レストラン「セゾン」、日本料理「関亭」、カラオケルーム15室などを完備している。建築規模は鉄筋コンクリート9階建て延べ床面積1万3331?。白河方部で結婚式、披露宴を数多く手掛けると共に大規模な会議にも使用され、同地域で貴重な施設としての役割を果たしている。
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