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日本大学工学部(小野沢元久学部長)環境推進委員会と、県雨水活用事業協同組合(藤島寿理事長)はこのほど、産学共同で「雨水ろ過長期保水システム」を開発、普及促進へ積極的な営業展開を開始した。
同システムは、雨水を浄化しながら地下貯水槽に溜め込み、さらに循環させることで水質を保持、トイレ用水や植木散水のほか災害発生時の生活用水として長期保存できるのが特徴。
日大工学部が15年4月に取得した環境マネジメント国際規格ISO14001に基づくエコキャンパス事業の一環として、出村克宣工学部教授の研究グループと同学部OBの市内建設業経営者8人で組織し協同組合の前身となる「雨水利用研究会」が産学共同で開発を進め、15年夏には大学キャンパス内の親水公園地下に150tクラスの貯水槽を設置し、システムの実証実験を進めた。
システムは、建物に降った雨水を原水槽に、芝生のグラウンドに降った雨水は下層のろ過層部分を通して地下の貯留水槽に集め、ポンプで循環させて芝生に戻して散水、繰り返し浄化して貯水する。貯水槽内にはバクテリアが好む水質浄化ポーラスコンクリートを設置し、絶えず循環させることで貯留水槽の雨水の水質を飲料用にまでアップさせることが可能。
芝生が持つ大腸菌を殺菌する高度な自然浄化作用力を利用し、貯水槽内の好気性バクテリアなどを使って大量の雨水再生水を半永久的に浄化、保存する。
貯留した雨水は、平常時は水洗トイレやプール用水、冷暖房水、植木散水などに利用、災害などの緊急時には食事、洗濯、風呂水などの生活用水としても利用できる。
循環用ポンプの電源は、太陽光発電や風力発電エネルギーでまかなえるため停電時でも給水が可能。水量が減少した場合は雨水で補給する。水量はコンピューターで管理し、電子メールで管理者へ配信できるほか、各貯留施設と管理センターをコンピューターで結ぶことでネットワークも構築できる。
貯留水槽は容量100~5000tクラスまでで耐震構造。芝生となる上面は学校の校庭や公園の運動場、駐車場などに有効利用できる。維持管理も芝刈りと定期的水質検査だけでほとんど不要。
設置費用は容量1000tクラスで約1億2000万円(太陽光発電、張芝含む)。今年4月に着工が予定される日大工学部新教室棟への設置も決定している。
組合事務局の住所は郡山市亀田1丁目51の5、電話・FAXは024(931)4063。
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