企業連携で新会社
■会津若松市の会津ガス・八ッ橋設備■
 平成15年4月、会津に「(株)エイワックス」(資本金1000万円、本社・田島町、磯目好紀社長)が設立された。同社を設立したのは会津若松市の「会津ガス(株)」(相馬鐵平社長)と「八ッ橋設備(株)」(笠原昭社長)。同業2社が、共通する課題に連携して取り組むために設立した。
 「会津ガス」と「八ッ橋設備」が連携を模索し始めたのは、新会社を設立する5年ほど前。建設投資が平成4年度をピークに減少傾向に転じ、経済対策として増加傾向にあった公共事業費も平成10年度を境に減少へ。公共事業への依存度が高い地方部にとっては受注の減少、利益率の低下が深刻な問題として浮上した頃である。
 民間投資の少ない会津地域の両社にとって、公共事業の減少は深刻な問題。両社とも、生き残りへ向けた経営改善が迫られた中、競争企業ではあるものの、連携して共通する課題に取り組む方策を模索した。
■受注減でもリストラ否定■
 受注量の減少に伴う最大の課題は、人的問題。受注量に見合った企業経営への転換が求められたものの、両社とも地域の基幹産業としてリストラには否定的見解を持っていた。また、<合併>については両社の生い立ちの違いなどから難しいと判断。リストラせず、激化するコスト競争に打ち勝つためには<施工の専門性>に特化した会社の設立が最善との結論に達した。
 新会社の「エイワックス」は、両社の持つノウハウを結集した高いレベルの技術者集団として、両社の施工分野を補完する位置付け。また、3社間では①協同による施工技術の深化向上②材料の共同購入によるコスト削減③外注への共同発注によるコスト削減④見積り、積算、申請業務の協同化によるコスト削減⑤機械工具の集中管理・使用によるコスト削減-を見込み、2社連携による新会社が2社を補完するとともに、新会社を含めた3社による様々なコスト削減に取り組む体制を構築した。
■共同購入等でコスト削減 ■
 エイワックスの発足に伴い、従前の会津ガスと八ッ橋設備の協力業者組織も統一化し、新たな協力会組織として「三和会」(52社で構成)を設置した。
 三和会メンバーは、エイワックスのもと、会津ガス及び八ッ橋設備両社の受注工事への下請参加機会が得られるため、従前より受注機会が増加。3社にとっては、共同発注することによりコスト競争力が高まるメリットがある。
 資材等の購入に関しても、3社共同によりコストダウンが実現。一例として、浄化槽の購入に関して、連携前に比べて約15%のコストダウンが図られたとしている。
 また、機械工具類に関しても、各社必要最低限の保有を除いてエイワックスに集中化。見積り、積算、各種申請書類等の業務についても可能な限り協同化を図り、コスト削減を図っている。
■今後の展望■
エイワックスの設立1年目の受注高は、約2億円となる見込み。下請が約1億5000万円、自社請負が約5000万円。今後、本社(田島町)を置く南会津郡を主に営業活動を積極的に展開し、元請工事の受注増を目指すほか、会津ガス及び八ッ橋設備以外からの受注にも応え、連携の輪を拡大する方針。
 また、現行は認められていない技術者プール制についても、長期的展望として研究する考え。16年3月現在における3社の管工事施工管理技士保有状況は、会津ガスが1級8名・2級6名、八ッ橋設備が1級10名・2級14名、エイワックスが1級3名・2級4名、合計では1級21名、2級24名となっている。



左からエイワックスの遠宮常務、磯目社長、鹿目常務、八ッ橋設備の笠原社長
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