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地元産出の資源で活路/川俣町の高橋工業
川俣町の高橋工業(高橋祐吉社長)は、公共事業が減少する中、新たな事業展開として「淡紅色黒雲母花崗岩」を活用した健康関連商品の開発に取り組んでいる。
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■鉱物の宝庫■ |
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川俣町水晶山・房又地区は、鉱物の研究者やマニアの間では、国内有数の鉱物の宝庫として知られている。多くのウラン鉱物や希元素鉱物を産出し、大正から昭和30年代までは、「珪石」や「長石」の大規模な採掘が事業として実施。また、昭和36年には通産省地質調査所(当時)が核原料(ウラン)調査を実施するなど、注目を集めた。
高橋工業の新事業の原材料となる「淡紅色黒雲母花崗岩」は、「正長石」「石英」「斜長石」「黒雲母」「磁鉄鉱ほか」の鉱物で構成。日本岩石鉱物床学会会員及び日本原子力学会員の佐藤長治理学博士に成分分析を依頼した結果、少量の放射線β線が出ていること、国内では同地区のみの産出であることを確認。分析結果を受けて同社は、この岩石を活用した健康関連商品の検討に着手した。
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■きっかけは地元の石展示会■ |
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「鉱物の宝庫」内には、同社の土採り場がある。土木工事業の同社にとってはそれまで、この岩石は邪魔な存在でしかなかった。
ところが、2003年9月、地元自治会主催による石の展示会「小島の石、世界の石」が開催され、邪魔な存在であった岩石が実は貴重な石であることが判明。公共事業の減少により、土木工事以外の事業展開を考えていた高橋社長のこの石に対する意識も、邪魔な存在から〝資源〟として変化した。
それからは積極的に行動。前述の理学博士に分析調査を依頼。2004年3月に分析結果が得られ、人体に好影響を与える可能性が高く、理学博士の佐藤氏からは、浴槽内に入れたり、この石を原料とした陶器の湯飲み茶碗等としての利活用が推奨された。 |
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■モニタリング■ |
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2004年4月からは、この岩石使用による影響を独自に調査するため、知人など約60人に提供し、モニタリングを開始。これまで、アルカリ化することにより「水道水がおいしくなった」、「日本酒のカドが取れ、まろやかになった」等、即効性の影響が報告されているほか、浴槽に入れているモニターからは「冷めにくい」等の感想が寄せられており、今後も人体的な影響についてモニタリングを継続する意向。
また、同社屋内駐車場の一部を工房に改造し、自社で陶器づくりも進めている。社員5人を研修させるとともに、粉機や土練機、窯、ろくろ等を完備し、試作品づくりに着手した。県ハイテクプラザ会津若松技術支援センターに依頼した釉薬・素地土試験の結果も得られ、結果に基づいた調合等による製品づくりを自社及び大堀相馬焼の窯元と進める考え。
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■入浴施設も検討■ |
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理学博士の佐藤氏からは、「浴槽や浴槽のタイルとして使用すると最高の効果が得られる」と薦められたことから、入浴施設の整備についても今後検討を深める。別の鉱物専門家からは、砂状化した活用策のアドバイスも受けているほか、中国産の桜みかげ石は敷石等(県内ではアクアマリンパーク等)にも利活用されているため、幅広い利活用策を検討する方針。
当面は、2005年5月を目途に岩石自体の販売及び陶器の製造・販売を目指しており、販路についてはインターネット等を利用した販売を基本とするほか、地域特産品として町に協力を依頼する考え。
高橋社長は、「公共事業の激減により、本業だけで生き残るのは非常に厳しい状況。地域の基幹産業として役割を継続するためには、別の事業を立ち上げる必要があった」とし、これまで炭づくりに挑戦するとともに、花卉栽培も検討した経緯を説明。今後は、地元産出の〝資源〟を有効活用した新事業に本格的に取り組む姿勢を見せている。 |
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