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県建設産業団体連合会(佐藤勝三会長)は、リデュース、リユース、リサイクルなど「R産業」参入の推進母体として特定非営利活動法人(NPO)循環型社会推進センターを設立した。今年3月12日に県からNPO法人の認証を受け、循環型社会の創造に向けた活動をスタート。福島市・蓬莱団地でのリフォーム的手法による環境改善・活性化事業、中心市街地における空ビルなどのリニューアル事業、女性建築士が理想の住宅地を提案する「森合土地再利用事業」などの事業を展開している。
平成15年度総会で佐藤会長がR産業への参入を打ち出したのを受け、昨年7月の理事会でR産業のコーディネートを手掛けるNPOの設立を決定、12月1日に発足した。
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高齢者・障害者にやさしい住環境の調査・研究・相談 |
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限りある資源と環境の保全を図る21世紀にふさわしい経済活動を活性化させるための調査・研究・相談 |
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消費者の立場に立った産業の研究・育成 |
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循環型社会における産業おこしの調査・研究・相談 |
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まちづくりや地域安全の推進のための調査・研究・相談-の5つの事業を活動の柱としている。 |
具体的な取り組みとしては、まず5月7日の第1回総会終了後に「循環型社会構築への第一歩」と題した講習会を開催した。講習会は、正会員に受講を義務付けたもので、約700人が参加。佐藤理事長が「健康寿命を延ばそう」~元気で安心して暮らせる地域づくり!~と題して講演した後、まる一日かけて「産業の変革」(ハードからソフトへ)、「NPO法人と新しい社会」、「ユニバーサルデザインで生きる」の3つの演題について研修し、受講者には修了証書が交付された。
蓬莱団地での取り組みは、大規模住宅団地の再生を目指すもの。県内の郊外型住宅団地の多くは小家族化や高齢化、住宅の老朽化が進行しており、開発段階で計画した「若者の街」ではもはや適合できない状況。施設面でも、デイサービスセンターなど高齢者福祉施設の不足、既存施設のバリアフリー対策、利用者が急減する学校施設の活用など住民と施設のミスマッチが表面化している。市街地への移転を希望する高齢者も増えてきているが、既存住宅を希望する金額では売却できないのが実情。同センターでは、これら高齢者の住宅を適正な評価で売却や建替・改修し、入居を希望する若い家族の移住施策を推進することで人口減少に歯止めをかけ、団地の活性化を目指そうと各種活動を進めている。
8月29日には蓬莱公民館で「いきいき蓬莱団地づくり・住まいの相談会」を開催。建築の専門家、不動産関係者、事務局員の3人体制でチームを編成し、住民のリフォーム、建て替え、住み替え、高齢者福祉などの相談に当たったほか、地区の住民・学生・スタッフなどが蓬莱団地のまちづくりについてフリートークを行った。また、実際に蓬莱団地で行われているリフォーム現場の見学や、ゲーム、似顔絵コーナーなどの交流を通じてセンターの活動をPRした。
10月1日からは、同団地に「より道ホール」も開設。県住宅供給公社が所有・管理するショッピングセンター1階のスペースを借り受け、生活・住まいの無料相談コーナーを常設するとともに、地区高齢者等の休憩・交流スペース、循環バスの待合ステーションとして活用している。
「森合土地再利用事業」は、福島市内の土地所有者から区画分譲の具体化を受託するもので、NPOに加入している女性建築士がプロジェクトチームを組織、更地の区画割り段階から住宅プランまで女性の視点を生かし構想を立案する。計画の策定に当たっては、ユニバーサルデザインや環境の重視はもちろん、外壁などでミニ協定の締結も視野に入れており、街区の協調性・統一性を図る考えだ。
このほか、同センターでは県が公的施設の管理を民間委託に移行する「指定管理者制度」への参入も検討。先行して17年度からスターとする県営住宅(県北・県中地区)の指定管理者受託を目指し、県内各地区の支部化を図るなど、指定管理者獲得に向けた準備を進めている。 |