砕石投入で地盤強化
東北土木㈱(会津若松市)
■環境配慮のアクパド工法■
 総合建設業の東北土木(会津若松市門田町一ノ堰字村西708の9、小野惠五社長)は、環境保全に配慮した「地盤・安心造工法(アクパド工法)」で同市西七日町6の40地内の宅地整備を行なった。
 現場は、RC造建造物を解体・撤去した跡地約800㎡。施主のヤマタ工務店(会津若松市西七日町11の14、五ノ井敏社長)が、住宅建設に当たり同工法による宅地改良を東北土木に求めた。
 同工法は、阪神・淡路大震災や新潟地震など、液状化現象に対応する工法として、国土交通省土木研究所(現・独立行政法人)と㈱不二商(新潟県豊栄市)が共同で開発。建設コンサルタントの日本LCA(東京都台東区東上野5の1の5)が代理店となって全国展開を進めており、本県ではこのほど東北土木のみが代理店の認定を受けた。
 3月には、北陸地方整備局新技術活用評価委員会が同工法を新技術情報提供システム(NETIS)への登録を決定し、「試験フィールド事業に活用する新技術」に位置付けた。
 施工は地盤全体を強化するという発想で、コンクリートパイルを打ち込むこれまでの常識を覆し、等間隔で碁盤目状に掘削した穴に20~40㎜の砕石を投入し、圧力をかけて地盤を補強・改良する。
 地盤調査データに基づき、コンピューターで深さや砕石投入量を管理。1本ずつ、地耐力を確保しながら施工するため、必ずしも強固な支持層まで打ち込む必要がないという。
 掘削は、水と空気を同時に噴射するWAL工法で行い、坑穴の内壁を圧力で固め、砕石を詰める。この現場では、1・5~1・8m間隔で深さ約3m、直径約40㎝の坑延べ約130本を掘削し、1本当たり約0・5立方メートルの砕石を投入。全体では65立方メートルに達した。
 セメントなど、固化するための材料は使用しないが、地盤に腐食土層ほか弱い層がある場合、砕石投入で圧密度を促進時に横方向に骨材が食い込み、十分な摩擦抵抗が確保される。
 完成した坑径は、掘削時より約40%大きくなり、側壁の摩擦面積が増加したことを示した。
 不二商が実証した荷重による地盤沈下実験によれば、固定杭の場合、杭を真下に押し下げようとする力が働くが、砕石杭では一つ一つの砕石に荷重が連鎖し、平均して斜め下方向に力が分散することが確認済み。
 環境省は、セメント系工法で溶出の可能性のある六価クロムを特定有害物質に指定し、土地所有者に浄化を義務付けたほか、15年2月には土壌汚染対策法を施行済み。国土交通省も、土壌汚染のほか鋼管材など埋設物の存在を地価の評価基準に加えるなど、施工者は法律・施工技術両面から新たな対応を迫られる状況となっている。
 小野社長は、土木現場への応用にも触れながら、「施工に自然素材である砕石を使用するため、建物解体後、不要な地下埋設物の撤去費用がかからず、コストが削減でき土地評価も下がらない」と利点を述べ、県内全域に営業を展開する考えを示している。
■写真は専用機械での掘削作業状況■
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