アール(R)事業部を立ち上げ
矢吹町の伸和建設
企業連携で循環型社会に対応
 
 矢吹町の伸和建設(橋本秀也社長)は、アール(R)事業部を平成16年に立ち上げた。企業提携により木くずを肥料化し、法面保護基盤材などに再利用することで循環型社会に対応した新しい企業戦略を目指している。
 
■3つの基本理念ともうひとつの思い■
 アール(R)事業部は3つの<理念>とひとつの<思い>を基本とし、密接な関係を持つ企業との連携によって、各自のノウハウを十分に活用し、その知識と技術と経験を互いに共有することで、単独では不可能なより高品質なサービス・商品開発の提供を大きな目的としている。


 3つの基本理念は、リサイクル(再資源化)、リユース(再利用)、リデュース(減少)。建設工事や間伐・剪定により発生する木・根・枝・葉等の木くずは現在、産業廃棄物として処理されているが、処理価格が高く工事費増大の要因となっている。また、焼却などの処理により環境にも悪影響を及ぼしている。こうした問題の解決のためにアール事業部は、木くずをチップ化することにより木質系肥料の原料としてリサイクル、肥料生産工場と提携して完全に肥料化した物を法面保護基盤材や園芸肥料そして土壌改良材として自然に還元することで、安くて環境に優しい循環型社会に対応することを提案している。
 もうひとつのRはリングで、企業間の和(輪)を伸ばすこと。土木会社、測量会社、産業廃棄物収集・運搬・処理会社、緑化会社、建設資材会社、IT会社などがそれぞれの知識と技術と経験を共有しながら、新しい商品開発や高品質のサービスを提供できる企業提携を目指している。
■肥料会社と提携し、木くずの肥料化を実現■
 現在、栃木県と宮城県の肥料会社と提携し、間伐材などの木くずをチップ化して工場に運搬、木質系肥料を生産している。肥料の需要は現在、法面保護基盤材としての利用が主流を占めているが、最大の課題である販売ルート確保の解決が求められている。
 間伐材の伐採・製材・建築工事などからでた木くずを収集・運搬、それをチップ化して工場で処理・堆肥化、苗木・土に利用し樹木を育成することで循環型を完成。これにより、3つの基本理念リサイクル(再資源化)リユース(再利用)リデュース(減少)を実現する。
■企業提携で企業間の和(輪)を伸ばす■
 法面緑化施工において自然との共生と再利用を目指すため、同社では大信中学校屋内運動場用地造成工事で、いわせ緑化産業と提携しレーンキャッチ工法とチップ材の法面保護基盤材を利用した法面緑化工事を施工した。
 レーンキャッチ工法は、法面緑化工事において、従前の金網やビニールを用いた工法に変わり、自然環境に配慮した間伐材や立木伐採材を使用する。法面と平行に間伐材製キャッチバーを設置することで、雨水の保水を高め、種子の早期発芽を促すことができ、また、間伐材を使用したキャッチバーや止め杭は、時間の経過と共に腐敗して有機肥料に変わり、自然に優しいリサイクル材として復活する。
 同社では、広く参画企業を募集し、環境分野に貢献する企業提携を進め、各社の知識と技術と経験を共有する企業間の和(輪)を伸ばして行きたいとしている。
 橋本社長は「公共事業が減少する中、リサイクル(再資源化)による環境に優しい循環型社会に対応した企業を目指した」とアール(R)事業部を立ち上げた動機を語る。今後についても「あらゆる分野からのニーズに応え、即座に対応できるシステムと新しい提案を示せるノウハウを会社内部及び提携企業との連携により築き、新しい形の会社として一歩ずつ前進して行きたい」と抱負を述べるとともに、新事業に対する確かな手応えに自信を示している。
 問い合わせは同社へ。電話0248(42)3713。
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